編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Stuckey TD, Stone GW, Cox DA, Tcheng JE, Garcia E, Carroll J, et al: Impact of stenting and abciximab in patients with diabetes mellitus undergoing primary angioplasty in acute myocardial infarction (the CADILLAC trial). Am J Cardiol 2005; 95: 1-7. [PubMed]

PTCAやステント留置術の開発により,AMIを発症した糖尿病患者の予後も改善しているが,非糖尿病患者に比べると,依然として予後が悪い。今回のCADILLAC試験では,以前の検討と同様に,PTCAに比べてステント留置術で再狭窄によるTVRが減少するものの,長期予後はあまり改善していなかった。またabciximabの効果も明らかではなかった。今後,さらなる検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 急性心筋梗塞(AMI)を発症し,初回血行再建術を施行される糖尿病患者において,ルーチンのステント留置術およびGP IIb/IIIa受容体拮抗薬abciximabの有効性を検討した。
一次エンドポイントは全死亡,機能障害を伴う脳卒中,再梗塞,虚血による標的血管血行再建術(TVR)の複合イベント。
●デザイン 無作為,2×2 factorial,多施設(9ヵ国),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は1年。
●対象患者 2082例:AMI患者。>18歳。うち糖尿病例346例(16.6%)。
登録基準:30分~12時間持続するAMI様症状,隣接した2誘導以上におけるST上昇または左脚ブロック(これ以外の心電図所見例では,血管造影所見において高度の狭窄および局所壁運動異常を認める場合に適格とした)。
除外基準:心原性ショック,出血性素因,治療不能な薬物アレルギー,最近の大手術または出血の既往,過去2年の脳血管イベントまたは脳血管イベントによる永続的な神経障害。
●方法 血管造影所見における適格例(梗塞血管が2.5~4.0mmの冠動脈で,病変長≦64mm)を2×2 factorial法にてPTCA群(糖尿病例79例,非糖尿病例439例),PTCA+abciximab群(83例,445例),ステント留置術群(83例, 429例),ステント留置術+abciximab群(101例,423例)にランダム化。
・abciximab投与例では,手術開始10分前に0.25mg/kgをボーラス投与し,以後0.125μg/kg/分(最大10μg/分)で12時間持続静注。
・ヘパリンを,活性化凝固時間が200~300秒(abciximab投与例)または≧350秒(abciximab非投与例)となるよう投与。
・ステント留置術例では,術後4週にわたって抗血小板薬ticlopidineまたはclopidogrelを投与。
・7ヵ月後に,脳卒中を認めず,早期バイパス術の施行予定のない患者に対して血管造影を実施。
●結果 糖尿病例と非糖尿病例の比較では,1年後の一次エンドポイントの発生率は糖尿病例で有意に高く(21.9 vs 16.8%,p=0.015),これは糖尿病例で死亡(6.1 vs 3.9%,p<0.02)およびTVR(16.4 vs 12.7%,p=0.07)が多いことによるものであった。
糖尿病例における検討では,1年後のTVRはステント留置術でPTCA群に比し有意に減少していたが(10.3 vs 22.4%,p=0.004),死亡,再梗塞,脳卒中に関しては群間差はみられなかった。abciximab投与の有無による相違は認められなかった。
ステント留置術群およびステント留置術+abciximab群の糖尿病例と非糖尿病例の比較では,再梗塞,脳卒中,TVRに関して差は認められなかったものの,1年後の死亡率(8.2 vs 3.6%,p=0.005)および一次エンドポイント(8.7 vs 2.9%,p=0.03)の発生率は糖尿病例で有意に高かった。
●結論 AMIを発症した糖尿病患者において,ルーチンのステント留置術は,abciximab投与の有無にかかわらず,再狭窄を抑制し,TVRを減少した。しかし糖尿病患者の生存率は,ステント留置術およびPTCAのいずれの場合でも非糖尿病患者に比して低かった。