編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sever PS, Poulter NR, Dahlof B, Wedel H, Collins R, Beevers G, Caulfield M, Kjeldsen SE, Kristinsson A, McInnes GT, et al: Reduction in cardiovascular events with atorvastatin in 2,532 patients with type 2 diabetes: Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial--lipid-lowering arm (ASCOT-LLA). Diabetes Care 2005; 28: 1151-1157. [PubMed]

本研究の一次エンドポイントに関して,糖尿病群では有意差は認められなかった。これは二次エンドポイントのひとつについての報告である。糖尿病群は2532例であり,一次エンドポイントの検証には検出力が不足しているため,有意差が認められなかったものと思われる。脂質低下療法と降圧療法との交互作用の解析が,糖尿病群についてのみならず,被験者全体に必要である。【景山 茂

●目的 冠動脈心疾患(CHD)既往がなく,コントロールされた高血圧を有し,総コレステロール(TC)値が平均以下の患者において,脂質低下療法の心血管アウトカムに対する有効性を検討した。糖尿病患者についてのサブ解析。
一次エンドポイントは致死性CHDイベントおよび非致死性心筋梗塞(MI)。二次エンドポイントのひとつは,すべての心血管アウトカム(心血管死,非致死性MI[症候性および無症候性],不安定狭心症,慢性安定狭心症,生命に関わる不整脈,非致死性心不全,非致死性脳卒中,末梢動脈疾患,網膜血管塞栓,血行再建術,一過性虚血発作,可逆性虚血性神経学的欠損)。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は1998年2月~2000年5月。追跡期間は3.3年(中央値)。
●対象患者 2532例:ASCOT(降圧療法試験:CHD既往のない高血圧患者19342例,40~79歳)の対象患者で,ASCOT-LLA(脂質低下療法試験:TC値≦6.5mmol/l,スタチン系薬剤またはフィブラートの使用なし,10305例)に登録した患者のうち,2型糖尿病を有する例。平均64歳。
登録基準:心血管リスク因子(2型糖尿病,男性,≧55歳,微量アルブミン尿または蛋白尿,喫煙,血漿TC/HDL-C比≧6,CHDの家族歴,左室肥大,心電図上の他の異常,末梢血管疾患,脳卒中の既往,一過性虚血発作)のうち3つ以上を有する。
除外基準:MIの既往,治療中の狭心症,過去3ヵ月以内の脳血管イベント,空腹時トリグリセリド値>4.5mmol/l,心不全,コントロール不良の不整脈,ルーチンスクリーニングにおける臨床的に重要な血液学的または生化学的異常。
●方法 4週のrun-in期間後,患者を新規降圧薬(Ca拮抗薬,ACE阻害薬)群と従来降圧薬(β遮断薬,利尿薬)群にランダム化(ASCOT)。さらに,TC値≦6.5mmol/lでスタチン系薬剤またはフィブラートの使用のない患者を,HMG-CoA還元酵素阻害薬atorvastatin 10mg/日群とプラセボ群にランダム化(ASCOT-LLA)。
・本解析は,ASCOT-LLAの糖尿病患者(atorvastatin群1258例,プラセボ群1274例)を対象とした。
●結果 ASCOT-LLAの被験者全体では,atorvastatin群において致死性CHDイベントおよび非致死性MIの有意な減少を認めたため,追跡期間3.3年(中央値)で早期に中止された。
atorvastatin群ではプラセボ群に比して,1年後のTC値が1.3mmo/l,LDL-C値が1.2mmol/l低く,追跡終了時にはいずれも0.9mmol/l低かった。
すべての心血管アウトカムの発生は,atorvastatin群(116件[9.2%])でプラセボ群(151件[11.9%])に比して有意に少なかった(ハザード比[HR]0.77,95%CI 0.61-0.98,p=0.036)。このリスク低下の割合は,非糖尿病患者における検討でも同様であった。糖尿病患者におけるatorvastatinの有効性は,ベースラインのTC値の影響を受けていなかった。
糖尿病群における血圧は,atorvastatin群138.5/77.7mmHg,プラセボ群138.4/77.3mmHgであった。
個々のアウトカムについての検討では,各アウトカムの発生数が少なく,atorvastatinの有効性を認めなかった。非致死性MI+致死性CHD(HR 0.84,95%CI 0.55-1.29)および全脳卒中(HR 0.67,95%CI 0.41-1.09)の発生はatorvastatin群で少なかったが,統計的有意差には至らなかった。
●結論 コントロールされた高血圧を有し,CHDの既往またはTC値上昇を認めない糖尿病患者において,atorvastatinは主要な心血管イベントリスクを有意に低下させた。このリスク低下の割合は,非糖尿病患者における検討でも同様であった。また,1000例の糖尿病患者に1年のatorvastatin治療を行うことにより,9例の初回主要心血管イベントを予防できることが示された。