編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Crowther CA, Hiller JE, Moss JR, McPhee AJ, Jeffries WS, Robinson JS, Australian Carbohydrate Intolerance Study in Pregnant Women (ACHOIS) Trial Group: Effect of treatment of gestational diabetes mellitus on pregnancy outcomes. N Engl J Med 2005; 352: 2477-2486. [PubMed]

妊娠糖尿病は妊婦の2~9%と高頻度に認められると考えられているが,これにより周産期合併症が増加することは数々のデータにより証明されてきた。しかし,そのスクリーニングの方法も含めた介入方法には諸説あり,定まったものがないといってもよいだろう。
本試験は,1000例の妊婦を対象に,妊娠糖尿病へのintensiveな介入が周産期合併症の減少につながるか否かを通常介入と比較したものであり,intensiveな介入の有用性が明らかに証明された。このデータをもとに,よりsophisticateされた妊娠糖尿病のスクリーニングおよび治療目標が設定されることになれば,きわめて意義があるものと思われる。【河盛隆造

●目的 妊娠糖尿病の治療により周産期合併症が減少するかを検討し,妊婦のアウトカム,心理状態,生活の質(QOL)に対する治療の効果を評価した。
出生児のアウトカムは,重篤な周産期合併症(死亡,肩甲難産,骨折,神経麻痺),新生児室入院,光線療法を要する黄疸。妊婦のアウトカムは,誘発分娩,帝王切開分娩,心理状態(不安,うつ,健康関連のQOL)。
●デザイン 無作為,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は1993年9月~2003年6月。
●対象患者 1000例:単胎または双胎の妊娠16~30週の妊婦。
登録基準:妊娠耐糖能異常(妊娠糖尿病のスクリーニングでリスク因子を1つ以上有するか50g OGTT陽性[1時間値≧140mg/dL],妊娠24~34週時の75g OGTTで空腹時血漿ブドウ糖[FPG]値<140mg/dLかつ2時間値140~198mg/dL)。
除外基準:妊娠糖尿病の既往,慢性全身性疾患(本態性高血圧を除く)。
●方法 施設および単胎/双胎妊娠について患者を層別化し,介入群(490例)と通常ケア群(510例)にランダム化。
・介入群:内科医の支援を受けた産科チームにより継続的なケアを実施。栄養士により個別の食事療法(妊娠前の体重,活動レベル,食事量,体重増加を考慮)を指導。自己血糖測定の方法を指導し,血糖が推奨範囲(空腹時63~99mg/dL,食前<99mg/dL,食後2時間<126mg/dL)に2週間安定するまで4回/日測定(以後は時間を毎回変えて1回/日測定)。インスリン治療を実施(妊娠35週以下で上記の2週間に2回の毛細管血糖値が空腹時≧99mg/dLまたは食後2時間≧126mg/dLの場合,妊娠35週以後で食後2時間≧144mg/dLの場合,上記の2週間に毛細管血糖値≧162mg./dLの場合)。
・通常ケア群:各施設の標準治療を実施。
●結果 重篤な周産期合併症の発生率は,介入群で通常ケア群に比し有意に低かった(1 vs 4%,補正[妊婦の年齢,人種または民族性,出産歴]相対リスク[RR]0.33,95%CI 0.14-0.75,p=0.01)。しかし,新生児室入院は介入群でより多かった(71 vs 61%,補正RR 1.13,95%CI 1.03-1.23,p=0.01)。光線療法を要する黄疸の発生率は両群で同等であった(9 vs 9%,補正RR 0.93,95%CI 0.63-1.37)。
誘発分娩の実施率は,介入群で通常ケア群に比し高かったが(39 vs 29%,補正RR 1.36,95%CI 1.15-1.62,p<0.001),帝王切開分娩の実施率は両群で同等であった(31 vs 32%,補正RR 0.97,95%CI 0.81-1.16,p=0.73)。産後3ヵ月時における心的状態および生活の質についてのデータが得られた573例(57%)についての解析では,うつの発生率は介入群(278例)で通常ケア群(295例)に比して低く(8 vs 17%,補正RR 0.46,p=0.001),不安のレベルは両群で同等であった(p=0.41)。
●結論 妊娠糖尿病の治療により,重篤な周産期合併症が減少し,また妊婦の健康に関連する生活の質も改善された。