編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Schaumberg DA, Glynn RJ, Jenkins AJ, Lyons TJ, Rifai N, Manson JE, Ridker PM, Nathan DM: Effect of intensive glycemic control on levels of markers of inflammation in type 1 diabetes mellitus in the diabetes control and complications trial. Circulation 2005; 111: 2446-2453. [PubMed]

炎症性マーカーや接着因子が厳格な血糖コントロールにより変化するか否かを検討した試験であるが,体重の変化がそのうえに重なってしまったため,結果は複雑なものになってしまった。全体でみるとhsCRPは強化療法群で有意に低下しているのに,体重別に分けるとむしろ体重増加の著しい強化療法群がもっとも顕著な上昇を示していた。体重増加がいかに動脈硬化のリスクになっているのかが改めて認識されることになってしまった。【河盛隆造

●目的 1型糖尿病患者において,強化インスリン療法が心血管疾患リスクに関連する炎症性マーカーに及ぼす影響を検討した。
●デザイン 無作為,多施設。
●試験期間 登録期間は1983~1989年。追跡期間は3年。
●対象患者 385例:DCCTの参加者(13~39歳の1型糖尿病患者1441例)から無作為に選出された例。
登録基準:HbA1c値>非糖尿病患者の平均値+3SD。
除外基準:総コレステロール値>性別および年齢の平均値+3SD,LDL-C値>190mg/dL,体重>理想体重の130%,心電図上の主要な異常所見,冠動脈心疾患の既往,症候性末梢血管疾患。
●方法 DCCTでは,強化インスリン療法群(インスリン投与≧3回/日)と従来療法群(インスリン投与1~2回/日)にランダム化(本解析の対象は,強化療法群193例,従来療法群192例)。
ベースライン時および3年後に,炎症性マーカー(高感度C反応性蛋白[hsCRP],可溶性細胞間接着分子-1[sICAM-1],可溶性血管細胞接着分子-1[sVCAM-1],可溶性腫瘍壊死因子α受容体1型[sTNF-R1])を測定。
●結果 hsCRPは3年後に両群で上昇したが(強化療法群+0.08mg/L[9.3%],従来療法群+0.19mg/L[23.9%]),有意な群間差は認められなかった(p=0.53)。一方,sICAM-1およびsVCAM-1は強化療法群では低下したが(それぞれ-2.51ng/mL[0.9%],-9.53ng/mL[2.1%]),従来療法群では上昇し(それぞれ+4.87ng/mL[1.7%],+4.56ng/mL[1.0%]),両群間に有意差が認められた(いずれもp=0.03)。sTNF-R1は両群で上昇し(強化療法群+108.1pg/mL[10.9%],従来療法群+6.0pg/mL[0.6%]),その上昇度は強化療法群有意に大きかった(p=0.002)。
ベースライン値およびその他の因子を補正後においても,強化療法群では従来療法群に比して,sICAM-1が有意に低く(p=0.02),sTNF-R1が有意に高かった(p=0.03)。
また,体重増加度が上位1/3の患者では,hsCRPの変化と治療に有意な相関が認められた(p=0.03)。強化療法群のみの解析では,体重増加度が上位1/3の患者ではhsCRPが上昇,下位1/3の患者では低下していた(p=0.0004)。
●結論 1型糖尿病患者における強化インスリン療法により,sICAM-1は低下,sTNF-R1は上昇し,体重が増加した患者のhsCRPは上昇した。これらのデータから,強化インスリン療法の炎症に対する影響は複雑であり,hsCRPがリスク因子である場合,糖尿病患者におけるアテローム性動脈硬化のリスクは,強化インスリン療法実施中の体重増加度に影響されることが示唆される。