編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Yamagata H, Kiyohara Y, Nakamura S, Kubo M, Tanizaki Y, Matsumoto T, Tanaka K, Kato I, Shirota T, Iida M: Impact of fasting plasma glucose levels on gastric cancer incidence in a general Japanese population: the Hisayama study. Diabetes Care 2005; 28: 789-794. [PubMed]

糖尿病患者では癌の発症率が高い,とくに膵癌や肝癌や大腸癌の発生率が高いとの報告がある。今回の久山町の成績は,FPG高値群で胃癌の発症率が高くなることを示している。また,この現象はヘリコバクターピロリの感染者でより顕著であった。高血糖による酸化ストレスや高インスリン血症,遺伝的関連などの機序も考えられるが,今後の機序の解明が待たれる。高血糖がヘリコバクターピロリへの易感染性をもたらすのかなど,その発癌増強作用についても今後の検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 日本人において,空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値と胃癌発症の関係を検討した。
●デザイン 縦断研究。
●試験期間 1988年登録開始。追跡期間は9年(1988年12月~1997年11月)。
●対象患者 2466例:≧40歳の福岡県久山町の住民2742例のうち,胃切除術の施行歴および胃癌の既往のない者。
●方法 解析対象者をFPG値に基づき,低値群(<95.3mg/dL:男性278例,女性551例),中等値群(95.3~104.4mg/dL:男性326例,女性484例),高値群(>104.4mg/dL:男性424例,女性403例)に分類。
胃癌の発症を追跡し,各群で比較。
●結果 追跡期間に66例(男性48例,女性18例)が胃癌を発症した。
年齢を補正した胃癌の発症率は,男性では,中等値群(7.0/1000人・年)および高値群(7.2/1000人・年)で,低値群(2.2/1000人・年)に比して有意に上昇していた(いずれもp<0.05)。女性では,高値群(2.5/1000人・年)で低値群(0.8/1000人・年)に比して有意な上昇が認められた(p<0.05)。
Cox比例ハザードモデルを用いた解析では,ヘリコバクターピロリの感染,喫煙,食事などのリスク因子を補正後においても,低値群に対する胃癌発症の相対リスクは,中等値群2.3(95%CI 1.1-5.0),高値群3.1(95%CI 1.5-6.4)で,いずれも有意に増大していた(p<0.05)。
血清検査におけるヘリコバクターピロリ感染の有無により検討したところ,陽性例においては,低値群に対する胃癌発症の相対リスクは,中等値群3.5(95%CI 1.3-9.5),高値群4.2(95%CI 1.6-11.1)で,いずれも有意に増大していたが(p<0.05),陰性例においてはFPG値による胃癌リスクの有意差は認められなかった。
●結論 日本人において,FPG値の上昇は胃癌発症のリスク因子であることが示された。また,高血糖はヘリコバクターピロリ感染による胃癌リスク増大の共同因子として作用している可能性が示唆された。