編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Mehilli J, Kastrati A, Schuhlen H, Dibra A, Dotzer F, von Beckerath N, Bollwein H, Pache J, Dirschinger J, Berger PP, et al.: Randomized clinical trial of abciximab in diabetic patients undergoing elective percutaneous coronary interventions after treatment with a high loading dose of clopidogrel. Circulation 2004; 110: 3627-3635. [PubMed]

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●目的 高用量の抗血小板薬clopidogrelの前投与後に待機的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された糖尿病患者において,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬abciximabのアウトカムに対する有効性を検討。
一次エンドポイントは1年後における全死亡または心筋梗塞(MI)の累積発生率。二次エンドポイントは冠動脈造影所見における再狭窄率(狭窄度≧50%)。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照。
●試験期間 試験期間は2001年1月~2003年10月。追跡期間は1年。
●対象患者 701例:冠動脈疾患を有する糖尿病患者で,PCI施行2時間以上前にclopidogrel 600mgを前投与された例。平均68歳。
除外基準:過去14日以内のMI,安静時心電図の2誘導以上で0.1mV以上のST変化を伴うかトロポニンT値>0.03ng/mLの不安定狭心症,静脈バイパスグラフト内の標的病変,3ヵ月以上にわたる慢性閉塞,血管造影における標的病変内の血栓,左室駆出率<30%,血行動態不安定,心膜炎,悪性疾患,過去3ヵ月以内の脳卒中,活動性の出血または出血性素因,最近の外傷または過去1ヵ月以内の大手術,動脈解離の疑い,抗凝固薬の服用,コントロール不良の重度の高血圧(>180mmHg),ヘモグロビン値<100g/Lまたはヘマトクリット値<34%,血小板数<100×109/Lまたは>600×109/L,試験薬に対するアレルギー反応,過去14日以内のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬の投与,妊娠またはその疑い。
●方法 PCI施行2時間以上前にclopidogrel 600mgおよびaspirin 500mgを投与。その後,患者をabciximab群(351例),プラセボ群(350例)にランダム化し,PCIを施行。
abciximab群では,abciximab 0.25mg/kgボーラス静注後,0.125μg/kg/分[最大10μg/分]を12時間持続静注,およびheparin 70U/kgを投与。プラセボ群では,プラセボのボーラスおよび12時間持続静注,およびheparin 140U/kgを投与。術後はaspirin 200mgおよびclopidogrel(退院まで[最大3日間]150mg[分2]→その後は75mgを6ヵ月以上),さらに必要に応じてその他の薬剤を投与。
一次エンドポイントおよび二次エンドポイントの発生を追跡。
●結果 一次エンドポイントの発生率はabciximab群8.3%(29例),プラセボ群8.6%(30例)で両群間に有意差は認められなかった(相対リスク[RR]0.97,95%CI 0.58~1.62,p=0.91)。
二次エンドポイントの発生率はそれぞれ28.9%(101例),37.8%(137例)とabciximab群で有意に低く(RR 0.76,95%CI 0.62~0.94,p=0.01),標的病変に対する血行再建術の施行率もそれぞれ23.2%(81例),30.4%(110例)とabciximab群で有意に低かった(p=0.03)。また,ベアステントが用いられた患者における再狭窄率はabciximab群で有意に低かったのに対し(31.9 vs 40.2%,p=0.04),薬剤溶出ステントが用いられた患者では両群の再狭窄率に有意差は認められなかった(7.3 vs 4.9%,p=1.0)。
●結論 高用量clopidogrelの前投与後に待機的PCIを実施された糖尿病患者において,abciximab投与による死亡リスクおよびMIリスクに対する有意な効果は認められなかった。しかし,ベアステント使用例においては再狭窄リスクが低減されることが示された。