編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wanner C, Krane V, Marz W, Olschewski M, Mann JF, Ruf G, Ritz E, German Diabetes and Dialysis Study Investigators: Atorvastatin in patients with type 2 diabetes mellitus undergoing hemodialysis. N Engl J Med 2005; 353: 238-248. [PubMed]

糖尿病患者においてスタチン系薬剤が心血管死を減少させることは,CARDS試験などで証明されている。末期腎不全で血液透析を受けている患者においても,US Renal Data System Morbidity and Mortality StudyやWave-2試験などで,後ろ向きではあるが,スタチン系薬剤の有用性が報告されている。しかしながら,2型糖尿病で血液透析を受けている患者においての今回の検討では,スタチン系薬剤は心血管死を減少させることができなかった。末期腎不全に達する前のより早期からの投与が必要であろう。【片山茂裕

●目的 血液透析を受けている2型糖尿病患者において,HMG-CoA還元酵素阻害薬atorvastatinの心血管イベントに対する有効性を検討した。
一次エンドポイントは,心臓が原因の死亡(致死性心筋梗塞[MI],突然死,うっ血性心不全[CHF]による死亡,冠動脈心疾患[CHD]治療のためのインターベンション施行中または施行後28日以内の死亡,その他すべてのCHDによる死亡),致死性脳卒中,非致死性MI,非致死性脳卒中の複合エンドポイント。二次エンドポイントは,全死亡,すべての心イベント,すべての脳血管イベント。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設(ドイツ),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は1998年3月~2002年10月。追跡終了は2004年3月。追跡期間は4年(中央値)。
●対象患者 1255例:維持血液透析(期間<2年)を受けている2型糖尿病患者。18~80歳(平均65.7±8.3歳)。
除外基準:空腹時血清LDL-C値<80mg/dLまたは>190mg/dL。トリグリセリド値>1000mg/dL。肝機能値が正常上限の3倍以上または症候性肝胆汁うっ滞性疾患。造血障害または末期腎疾患に関連しない全身性疾患。3ヵ月以内の血管インターベンション,CHF,MI。不成功の腎移植。治療抵抗性高血圧(SBP>200mmHgまたはDBP>110mmHg)。
●方法 脂質低下薬は投与中止し,プラセボ投与のrun-in期間(4週)後,患者をatorvastatin群(619例)とプラセボ群(636例)にランダム化。4週後および以後6ヵ月ごとにエンドポイントの発生を追跡。
・atorvastatin群では20mg/日を投与し,LDL-C値が<50mg/dLに低下した場合は10mg/日に減量。
●結果 4週後のLDL-C中央値は,atorvastatin群では42%低下したが,プラセボ群ではほぼ変わらなかった(-1.3%)。
追跡期間に一次エンドポイントを発生したのは469例(37%)であり,うちatorvastatin群は226例(37%),プラセボ群は243例(38%)であった(相対リスク[RR]0.92,95%CI 0.77-1.10,p=0.37)。一次エンドポイントの各アウトカムに対してもatorvastatin投与の有意な有効性は認められず,致死性脳卒中はatorvastatin群で増加した(27例[4%] vs 13例[2%],RR 2.03,95%CI 1.05-3.93)。
二次エンドポイントの検討では,すべての心イベントはatorvastatin群で減少したが(205例[33%] vs 246例[39%],RR 0.82,95%CI 0.68-0.99,p=0.03),全死亡(297例[48%] vs 320例[50%],RR 0.93,95%CI 0.79-1.08,p=0.33)およびすべての脳血管イベント(79例[13%] vs 70例[11%],RR 1.12,95%CI 0.81-1.55,p=0.49)については有効性を認めなかった。
●結論 維持血液透析を受けている2型糖尿病患者において,atorvastatin投与により心血管死,非致死性MI,脳卒中の減少は認められなかった。