編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Nathan DM, Cleary PA, Backlund JY, Genuth SM, Lachin JM, Orchard TJ, Raskin P, Zinman B, Diabetes Control and Complications Trial/Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications (DCCT/EDIC) Study Research Group: Intensive diabetes treatment and cardiovascular disease in patients with type 1 diabetes. N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653. [PubMed]

6.5年のDCCT試験時の強化療法による血糖コントロールの影響が試験終了6年後の頸動脈内膜-中膜壁肥厚(IMT)の増加度を抑制するという成績がEDICですでに報告されていたが,その後さらに5年にわたる観察により,心血管イベントそのものをも抑制するということが証明された画期的な報告である。「metabolic memory」は,細小血管合併症だけではなく,大血管合併症においても認められることが証明されたわけである。しかも,治療中の6.5年とその後しばらくの間はこの効果は確認できなかったわけであり,インスリンの大血管障害に対する効果を検討するには,きわめて長期の追跡が必要であることもあわせて証明したことになる。【河盛隆造

●目的 1型糖尿病患者において,強化インスリン療法の長期的な心血管疾患発症リスク抑制効果を検討した。
一次アウトカムは初回心血管イベント(非致死性心筋梗塞[MI]または脳卒中,心血管死,無症候性MI,狭心症,血管形成術または冠動脈バイパス術による血行再建術の必要)。
●デザイン intention-to-treat解析。DCCTは無作為。
●試験期間 追跡期間は平均17年(2005年2月1日まで)。DCCTの試験期間は1983~1993年(追跡期間は平均6.5年)。
●対象患者 1341例:DCCTの参加者(1型糖尿病患者1441例,13~40歳)のうち,DCCTを完了し,1994年にEDIC追跡試験への参加を承諾した生存例。
除外基準:心血管疾患の既往,高血圧(≧140/90mmHg)または高コレステロール血症(空腹時血清コレステロール値が年齢および性別の平均の3SD以上)。
●方法 ・DCCT:強化インスリン療法群(711例)と従来療法群(730例)にランダム化。強化インスリン療法群では,1日3回以上のインスリン注射またはインスリンポンプを実施(目標血糖値は食前値70~120mg/dLおよび食後最高値<180mg/dL,目標HbA1c値は<6.05%)。従来療法群では,1日1~2回のインスリン注射を実施。終了時(平均6.5年後)の平均HbA1c値は,強化インスリン療法群(698例)7.4%,従来療法群(723例)9.1%(p<0.01)。
・EDIC:DCCT終了後,従来療法群では強化インスリン治療を行い,さらに両群とも個々の通常の糖尿病治療を実施。終了時(11年後)の平均HbA1c値は,強化インスリン療法群(593例)7.9%,従来療法群(589例)7.9%(p=0.03)。
●結果 追跡期間の心血管イベントの発生は,強化療法群46件(31例),従来療法群98件(52例)であった(イベント率は,それぞれ0.38/100人・年,0.80/100人・年,p=0.007)。強化療法群では従来療法群に比し,すべての心血管イベントリスクが42%減少(95%CI 9-63%,p=0.02),非致死性MIまたは脳卒中リスクおよび心血管死リスクが57%減少した(95%CI 12-79%,p=0.02)。
比例ハザードモデルでは,強化インスリン療法群におけるDCCT期間のHbA1c値の低下は,心血管リスクの改善と有意に相関していた。微量アルブミン尿およびアルブミン尿は心血管疾患リスクの有意な上昇と相関していたが,これらの因子を補正後も,群間差は有意であった(p≦0.05)。
●結論 1型糖尿病患者において,強化インスリン療法は心血管疾患リスクに対して長期的な有効性を有することが示された。