編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Yamada T, Komatsu M, Komiya I, Miyahara Y, Shima Y, Matsuzaki M, Ishikawa Y, Mita R, Fujiwara M, Furusato N, et al: Development, progression, and regression of microalbuminuria in Japanese patients with type 2 diabetes under tight glycemic and blood pressure control: the Kashiwa study. Diabetes Care 2005; 28: 2733-2738. [PubMed]

柏市民病院で行われた本試験では,これまでにないほど厳格な血糖コントロール(HbA1c値6.5%)と血圧コントロール(経過中の血圧:127/72mmHg)が行われた。その結果,正常から微量アルブミン尿の発症が15%,微量アルブミン尿から蛋白尿への進展が17%,正常アルブミン尿への寛解が21%に認められるという良好な結果が得られたことが特筆される。とくにSBPを120mmHg未満に維持すると,発症や進展率が低下し,寛解率も高くなることから,現在の種々のガイドラインの降圧目標値(<130/80mmHg)を再考する必要があるかもしれない。【片山茂裕

●目的 血圧および血糖コントロール良好の日本人の2型糖尿病患者において,アルブミン尿の長期的予後を検討した。
●デザイン 観察試験。
●試験期間 追跡期間は8年以上(1994~2004年)。
●対象患者 273例:日本人の2型糖尿病患者。正常アルブミン尿症例(尿中アルブミン排泄[UAE]<30mg/gCr)179例,微量アルブミン尿(UAE 30~299mg/gCr)94例。男性160例,女性113例。平均58歳。平均HbA1c値8.8%。平均血圧136/76mmHg。
●方法 4~8週ごとに患者を追跡し,血糖値,HbA1c値,血圧を測定。UAEを年3回以上測定。
治療目標はHbA1c値<6.5%および血圧<130/80mmHg。
正常アルブミン尿症例における微量アルブミン尿または蛋白尿(UAE≧300mg/gCr)の発症,微量アルブミン尿症例における蛋白尿への進展または正常アルブミン尿への寛解を評価。
●結果 8年間の平均HbA1c値は6.5±0.7%,平均血圧は127±11/72±6mmHgであった。
追跡期間に正常アルブミン尿症例のうち27例(15%)が微量アルブミン尿または蛋白尿を発症した。また,微量アルブミン尿症例のうち16例(17%)が蛋白尿へ進展,20例(21%)が正常アルブミン尿へ寛解した。
多重ロジスティック回帰分析では,各症例への進展に有意に関与する因子はSBP高値,寛解に関与する因子はSBP低値であった。
平均SBPにより患者を4群(<120,121~130,131~140,≧141mmHg)に分けた検討では,正常アルブミン尿症例における発症率はそれぞれ3%,11%,33%,40%,微量アルブミン尿症例における進展率はそれぞれ11%,22%,13%,27%,寛解率はそれぞれ44%,22%,17%,20%であった。
●結論 血糖コントロール良好(平均HbA1c値6.5%)の日本人2型糖尿病患者において,血圧がより低い症例(SBP<120mmHg)ほど腎症の発症および進展率は低く,正常への寛解率は高かった。