編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Lipsky BA, Armstrong DG, Citron DM, Tice AD, Morgenstern DE, Abramson MA: Ertapenem versus piperacillin/tazobactam for diabetic foot infections (SIDESTEP): prospective, randomised, controlled, double-blinded, multicentre trial. Lancet 2005; 366: 1695-1703. [PubMed]

下肢感染症(36.5/1000人・年といわれている)は,潰瘍と並んで入院の大きな理由であり,下肢切断に至ることもある。抗生物質による治療の有効性を示す多くの成績があるが,今回の前向き試験では,ertapenemの1日1回投与は,piperacillin/tazobactamの1日4回投与と同等の有効性および安全性を示した。したがって本薬は,入院患者のみならず,とくに外来患者で有効な方法となろう。【片山茂裕

●目的 下肢感染症を有する糖尿病患者において,カルバペネム系抗生物質ertapenemとアミノペニシリン酸/βラクタマーゼ阻害薬の合剤piperacillin/tazobactamの有効性および安全性を比較検討した。
一次エンドポイントは静注治療後に良好な反応(治癒または改善)がみられた割合。二次エンドポイントは治療10日後に良好な反応がみられた割合。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設。
●試験期間 試験期間は2001年4月~2004年4月。
●対象患者 586例:抗生物質の静注を要する中等度~重度の下肢感染症を有する1型および2型糖尿病患者。
登録基準:排膿,または以下のうち3つ以上を示す:発熱(≧38度)または低体温(≦36度),末梢白血球数>10000/mm³で好中球幅≧5%,創傷部の限局性浮腫・紅斑・軟柔・圧痛・熱感・硬結,リンパ管炎)。
除外基準:以下の感染症:軽度および経口抗生物質治療を要さない,試験薬に抵抗性,主に熱傷によるもの,壊疽性筋膜炎,骨髄炎によると思われるもの,人工装具留置による合併,外科的切除で適切に除去できなかった壊疽性組織。妊婦,授乳婦,妊娠の可能性。βラクタマーゼ阻害薬禁忌。試験薬またはvancomycin以外の抗生物質による全身治療の必要性。二次性糖尿病または耐糖能異常。血管形成術を要する患部の血流不全。進行性または末期の疾患。透析の必要性。免疫抑制。コルチコステロイド治療中。肝機能異常。ヘマトクリット値<25%,ヘモグロビン値<8g/dL,血小板数<75000/mm³。凝固試験の結果が正常上限の1.5倍以上。スクリーニング前72時間以内に24時間以上の全身性抗生物質治療の実施。
●方法 患者をertapenem(静注:1g/日)群295例とpiperacillin/tazobactam(静注:3.375g/6時間)群291例にランダム化し,5~28日投与。5日後以降は,経口治療(amoxicillin/clavulanic acid 875/125mg/12時間)に変更も可能とした。Enterococcus sppおよびmeticillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)が疑われるときは,vancomycinを必要に応じて投与。
創傷の変化(治癒または改善)を,静注終了時,経口治療終了時,すべての治療終了後10日時に評価。
●結果 静注終了時の評価が得られたのは445例(ertapenem群226例,piperacillin/tazobactam群219例)で,うち治療に良好な反応がみられた割合はそれぞれ213例(94%),202例(92%)と両群で同等であった。
すべての治療終了後10日時の評価が得られたのは402例(206例,196例)で,うち治療に良好な反応がみられたのはそれぞれ180例(87%),162例(83%)と両群で同等であった。
試験薬に関する有害事象の発生率(15%,20%)およびそれによる投与中止率(1%,2%)についても,両群で同等であった。
●結論 下肢感染症を有する糖尿病患者において,ertapenemとpiperacillin/tazobactamの臨床的および微生物学的有効性は同等であることが示された。したがって,非経口の抗生物質1日1回投与が適切な場合があることが示唆された。