編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bonnefoy E, Steg PG, Chabaud S, Dubien PY, Lapostolle F, Boudet F, Lacroute JM, Dissait F, Vanzetto G, Leizorowicz A, et al: Is primary angioplasty more effective than prehospital fibrinolysis in diabetics with acute myocardial infarction? Data from the CAPTIM randomized clinical trial. Eur Heart J 2005; 26: 1712-1718. [PubMed]

従来の報告と同様に,糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ,心筋梗塞後の再梗塞や脳卒中の発症率が2.59倍も高い。糖尿病患者では,心筋梗塞の治療はフィブリン溶解療法よりも血管形成術の予後がよかった。最近ではGP IIb/IIIa受容体拮抗薬も併用されるようになってきており,さらなる予後の改善が期待される。【片山茂裕

●目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,糖尿病が再灌流療法(血管形成術またはフィブリン溶解療法)の有効性に及ぼす影響を検討。CAPTIMのサブグループ解析。
一次エンドポイントは30日後の死亡,非致死性再梗塞,非致死性脳卒中の複合エンドポイント。二次エンドポイントは30日後の心血管死,難治性の再発性虚血,心原性ショック,重度の出血,緊急血行再建術(血管形成術または冠動脈バイパス形成術[CABG])。
●デザイン 無作為,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は30日。
●対象患者 834例:CAPTIMの参加者(発症後6時間以内のST上昇型AMI患者840例)のうち糖尿病の有無が明らかな例。糖尿病例103例,非糖尿病例731例。
登録基準:典型的な胸痛が30分以上持続または30分未満で硝酸薬が奏効しない,心電図所見における隣接した2誘導以上で0.2mV以上のST上昇または左脚ブロック。
除外基準:出血性素因またはフィブリン溶解療法の実施禁忌,重度の腎または肝機能障害,大動脈-大腿動脈バイパス術または大腿動脈へのアクセスが困難,心原性ショック,CABG施行歴,経口抗凝固薬の使用,病院への搬送時間が1時間以上。
●方法 CAPTIMでは,入院前フィブリン溶解療法群(病院搬送前に以下の治療を実施:heparin 5000 Uボーラス静注+aspirin 250~500mg静注または経口投与→rt-PA 15mgボーラス静注→rt-PA 0.75mg/kgを30分間持続静注[最大50mg]→0.50mg/kgを60分間持続静注[最大35mg]),初回血管形成術群(heparin 5000 Uボーラス静注+aspirin 250~500mg静注または経口投与後に血管形成術を施行)にランダム化。
本解析では,糖尿病例103例(入院前フィブリン溶解療法群46例,初回血管形成術群57例)および非糖尿病例731例(それぞれ370例,361例)を解析対象とし,糖尿病の有無および治療により一次エンドポイント発生率および死亡率を比較。
●結果 糖尿病例では非糖尿病例に比して,ベースライン時にリスク因子(より高い年齢,高血圧,MIの既往,より高いSBP)を有する患者が多く,30日後における一次エンドポイントの発生率(14.6 vs 5.6%[15/103 vs 41/729例],相対リスク[RR]2.59,95%CI 1.5-4.5,p=0.002)および死亡率(8.7 vs 3.1%[9/103 vs 23/731例],p=0.01)が有意に高かった。
糖尿病例における検討では,一次エンドポイントの発生は入院前フィブリン溶解療法群で初回血管形成術群よりも高率に発生する傾向がみられ(21.7% vs 8.8%[10/46 vs 5/57例],RR 2.47,95%CI 0.91-6.74,p=0.09),これはおもに入院前フィブリン溶解療法群で死亡率が高いことによるものであった(13.0 vs 5.3%[6/46 vs 3/57例],RR 2.47,95%CI 0.7-9.4,p=0.29)。一方,非糖尿病例ではこの傾向は認められなかった。
また,糖尿病例では非糖尿病例に比して,緊急救済血管形成術の施行率(41.4 vs 23.5%,p=0.01)および施行後の死亡率(17.4 vs 0%[4/23 vs 0/90例],p=0.0014)が有意に高かった。
●結論 AMI発症後6時間以内の糖尿病患者に対しては,とくに血管形成術が有効であることが示された。しかし,本解析では対象とした糖尿病患者の数が少なかったことから,さらなる臨床試験の実施が必要である。