編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Okin PM, Devereux RB, Gerdts E, Snapinn SM, Harris KE, Jern S, Kjeldsen SE, Julius S, Edelman JM, Lindholm LH, et al: Impact of diabetes mellitus on regression of electrocardiographic left ventricular hypertrophy and the prediction of outcome during antihypertensive therapy: the Losartan Intervention For Endpoint (LIFE) Reduction in Hypertension Study. Circulation 2006; 113: 1588-1596. [PubMed]

LIFE試験においては,すでに糖尿病患者でのサブ解析が行われ,β遮断薬に比べてAII受容体拮抗薬が心血管疾患の発症率や死亡率をより低下させることが報告されている。今回のサブ解析では,糖尿病患者ではLVHを有する患者の割合が高く,LVHも高度であることが示された。そして,降圧治療によるLVHの退縮度は,糖尿病患者では非糖尿病患者に比べて小さかった。このことに関連して,糖尿病患者ではLVHの退縮が心血管イベントの予測因子にならなかったことは特筆されるべきであり,今後の治療のターゲットとしてさらなる検討が必要である。【片山茂裕

●目的 左室肥大(LVH)を有する高血圧患者において,降圧薬(AII受容体拮抗薬losartan,β遮断薬atenolol)治療による心電図上のLVH退縮に糖尿病が及ぼす影響を検討し,さらに心血管(CV)イベントおよび全死亡に対する糖尿病の影響を検討した。
●デザイン 無作為,二重盲検。
●試験期間 追跡期間は平均4.8±0.9年。
●対象患者 9193例:LVH(Cornell voltage-duration product[CP]>2440mm/ms)を有する高血圧(座位血圧160~200/95~115mmHg)患者。55~80歳。糖尿病患者1195例(13%)。
除外基準:過去6ヵ月の心筋梗塞[MI]または脳卒中。左室駆出率<40%。β遮断薬,ACE阻害薬,AII受容体拮抗薬治療の必要性。
●方法 患者をlosartan群とatenolol群にランダム化。
心電図検査および血圧測定をベースライン時,6ヵ月後,その後1年ごとに実施し,LVH退縮と糖尿病の有無の関係,およびLVH退縮とアウトカムリスクとの関係およびそれに対する糖尿病の影響を検討。
●結果 追跡期間のLVH退縮度は,糖尿病患者で非糖尿病患者に比し有意に小さく(CP:-138±866 vs -204±854mm/ms,P<0.001),追跡終了時にLVHを有する患者の割合は糖尿病患者で有意に高かった(56.0 vs 48.1%,P<0.001)。
CVイベント(CV死,脳卒中,MI)の発生率は(年齢,性別,喫煙,MI・脳卒中・心不全・末梢血管疾患の既往,BMI,総およびHDLコレステロール,空腹時血糖値,血圧,LVH重症度,治療群を補正),糖尿病患者で有意に高かった(ハザード比[HR]1.72,95%CI 1.41-2.09,P<0.001)。同様に,全死亡率も糖尿病患者で有意に高かった(HR 1.52,95%CI 1.20-1.91,P<0.001)。
次に,治療によるLVH退縮とイベント発生との関係をCox比例ハザードモデルで検討したところ,非糖尿病患者においては,LVH退縮によりCVイベントリスクは37%(P<0.001),全死亡リスクは28%(P<0.001)低下したが,糖尿病患者においては有意なリスク低下は認めなかった。これは,因子を補正後も同様であった。
●結論 LVHを有する高血圧患者において,降圧薬治療によるLVH退縮度は糖尿病により低下することが示された。また,糖尿病患者においては,LVH退縮はアウトカムの予測因子ではなかった。このように,糖尿病患者においては降圧治療によりLVH退縮が望めないことがアウトカム悪化につながっていると考えられ,LV構造と機能不全およびアウトカムの関係はより複雑であることが示唆される。