編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Juul AB, Wetterslev J, Gluud C, Kofoed-Enevoldsen A, Jensen G, Callesen T, Norgaard P, Fruergaard K, Bestle M, Vedelsdal R, et al.: Effect of perioperative beta blockade in patients with diabetes undergoing major non-cardiac surgery: randomised placebo controlled, blinded multicentre trial. BMJ 2006; 332: 1482. [PubMed]

ACC/AHAを含む欧米のガイドラインでは,糖尿病患者を含め非心臓手術を受けるすべての患者に,周術期にβ遮断薬を投与することを勧めている。今回のDIPOM試験では,今までにない921例という多数の患者において,metoprololとプラセボの比較が行われたが,結果はネガティブに終わった。【片山茂裕

●目的 主要な非心臓手術を施行された糖尿病患者において,周術期におけるβ遮断薬投与が死亡および心疾患に及ぼす長期効果を検討した。
一次複合アウトカムは全死亡,急性心筋梗塞,不安定狭心症,うっ血性心不全の複合エンドポイント。二次アウトカムは全死亡,心臓死,非心臓死,非致死性心疾患。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2000年7月1日~2002年7月1日。2003年1月1日追跡終了。追跡期間は18ヵ月(中央値)。
●対象患者 921例:>39歳で主要な非心臓手術を施行予定の糖尿病患者。
除外基準:β遮断薬全身投与,β遮断薬の適応,NYHA IV度のうっ血性心不全,III度の房室ブロック,妊娠中または授乳中,β遮断薬metoprololまたはプラセボに対するアレルギー。
●方法 metoprolol群(462例),プラセボ群(459例)にランダム化。
metoprolol群では,手術前日にmetoprolol徐放剤50mgを投与後,手術当日は麻酔開始の2時間以上前に100mgを投与し,退院まであるいは最大8日間100mg/日を投与。
●結果 平均投与期間はmetoprolol群4.6日,プラセボ群4.9日であった。
一次アウトカムは,metoprolol群99例(21%),プラセボ群93例(20%)に発生し,有意な群間差は認められなかった(ハザード比[HR]1.06,95%CI 0.80~1.41,p=0.66)。全死亡もそれぞれ74例(16%),72例(16%)と群間差は認められず(HR 1.03,95%CI 0.74~1.42,p=0.88),他の二次アウトカムについても同様であった。
重度の有害事象の発生をみたのはそれぞれ36例(8%),26例(5%)であった(リスク差2.4%,95%CI -0.8~5.6,p=0.2)。metoprolol群ではプラセボ群に比して,平均心拍数が11%減少(95%CI 9~13),平均血圧が3%低下し(95%CI 1~5),両群間に有意差が認められた(それぞれp<0.001,p<0.02)。
●結論 主要な非心臓手術を施行された糖尿病患者において,周術期のmetoprolol投与による死亡および心疾患への効果は認められなかった。ただし,信頼区間が広いことから再評価が必要であると思われる。