編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Pambianco G, Costacou T, Ellis D, Becker DJ, Klein R, Orchard TJ: The 30-year natural history of type 1 diabetes complications: the Pittsburgh Epidemiology of Diabetes Complications Study experience. Diabetes 2006; 55: 1463-1469. [PubMed]

30年間の糖尿病治療学の進歩が合併症管理の質をどれくらい高めたかということを問う研究ともいえる。残念ながら一部の合併症発生率では改善が認められておらず,終末期合併症の患者が現在でも増え続けている実態に一致している。【河盛隆造

●目的 1型糖尿病の合併症の30年間にわたる自然史を検討した。
●デザイン 観察研究,コホート。
●試験期間 1986~1988年試験開始。2000年12月31日追跡終了。
●対象患者 906例:1型糖尿病患者。試験開始前に死亡した患者143例,ベースライン(1986~1988年)および12年後に調査データのみが得られた患者111例,ベースラインに検査が実施された患者652例。
登録基準:1950年1月1日~1980年5月31日にChildren's Hospital of Pittsburghにおいて1型糖尿病と診断,または診断後1年以内に同施設に受診。Pittsburghより100マイル以内あるいは2.5時間圏内に居住。
●方法 全対象患者について,糖尿病診断20年後,25年後,30年後における死亡,腎不全,冠動脈疾患(CAD)の累積発生率を調査。また,各検査を実施された患者について,糖尿病診断20年後,25年後における顕性腎症,増殖性網膜症,神経障害の累積発生率を調査。
対象患者を診断時期により5群に分類し(1950~1959年,1960~1964年,1965~1969年,1970~1974年,1975~1980年),各合併症の累積発生率を比較。
●結果 死亡の累積発生率は診断時期に伴う減少傾向を示し,25年後の累積死亡率は,1970~1974年に診断された患者(7%)では1950~1959年に診断された患者(35%)に比して80%低下していた。
腎不全の累積発生率も診断時期に伴う有意な減少を示し(20年後:p<0.01,25年後:p<0.01,30年後:p<0.05),神経障害の累積発生率も同様であった(20年後: p<0.05,25年後:p<0.06)。
増殖性網膜症および顕性腎症の累積発生率は,20年後には有意ではないものの減少傾向を示したが(それぞれp<0.16,p<0.13),25年後には診断時期に伴う変化はみられなかった。一方,CADの累積発生率は他の合併症よりも低く,診断時期に伴う変化はみられなかった。
●結論 30年間で,1型糖尿病の合併症の一部(死亡,腎不全,神経障害)は減少傾向を示したが,他の合併症(CAD,顕性腎症,増殖性網膜症)については好ましい変化は認められなかった。