編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kahn SE, Haffner SM, Heise MA, Herman WH, Holman RR, Jones NP, Kravitz BG, Lachin JM, O'Neill MC, Zinman B, et al.: Glycemic durability of rosiglitazone, metformin, or glyburide monotherapy. N Engl J Med 2006; 355: 2427-2443. [PubMed]

初期の糖尿病治療において,インスリン抵抗性改善薬rosiglitazoneとビグアナイドあるいはSU薬の血糖降下作用の持続性を5年という長期にわたり観察した貴重な成績である。長期の血糖降下作用は,rosiglitazoneおよびmetformin群でSU薬に勝り,インスリン感受性改善作用やβ細胞機能の保持でも同様な傾向であった。しかしながら,浮腫や体重増加などがrosiglitazone群で多く,副作用も考慮に入れた経口薬の選択が求められるといえる。
今回rosiglitazone群で骨折(とくに下肢)の増加がみられ,今後の検討が必要である。また心血管イベントや細小血管症への長期的な影響を検討する必要がある。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,rosiglitazone(インスリン抵抗性改善薬)の長期血糖コントロール維持効果をmetformin(ビグアナイド)およびスルホニル尿素薬glyburideと比較した。
一次アウトカムは,単剤治療不成功(空腹時血糖[FPG]値>180mg/dL)までの期間(rosiglitazone vs metforminおよびglyburide)。二次アウトカムは,ベースラインのFPG値≦140mg/dLの患者において最大耐容量を6週以上投与後に>140mg/dLに至るまでの期間,FPG値,HbA1c値,体重,インスリン感受性,β細胞機能。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(米国,カナダ,欧州15ヵ国)。
●試験期間 登録期間は2000年4月~2002年6月。2006年6月追跡終了。治療期間は4.0年(中央値)。
●対象患者 4360例:3年以内に診断された薬物療法未実施の2型糖尿病患者。
登録基準:30~75歳,ライフスタイル管理のみを実施下におけるFPG 値126~180mg/dL。
除外基準:臨床的に重度の肝疾患,腎障害,乳酸アシドーシスの既往,不安定狭心症または重度の狭心症,既知のうっ血性心不全(NYHA I~IV),コントロール不良の高血圧。
●方法 患者を,rosiglitazone(4mg[分1]~8mg[分2])群(1458例),metformin(500mg[分1]~2g[分2])群(1455例),glyburide(2.5mg[分1]~15mg[分2])群(1447例)にランダム化。各追跡時にFPG値≧140mg/dLの場合,プロトコールに従って最大用量まで増量。
●結果 安全性評価の対象はrosiglitazone群1456例,metformin群1454例,glyburide群1441例,有効性評価の対象は1393例,1397例,1337例,試験完了例は917例,903例,807例であった。
Kaplan-Meier解析による5年後における単剤治療不成功の累積発生率は,rosiglitazone群15%,metformin群21%,glyburide群34%であった。rosiglitazone群における単剤治療不成功のリスクは,metformin群に比して32%低下(95%CI 15-45),glyburide群に比して63%低下(95%CI 55-70)しており(いずれもp<0.001),血糖コントロール維持効果の差違は,rosiglitazoneとmetforminよりもrosiglitazoneとglyburideのほうが大きかった。
重度の心血管イベントは,rosiglitazone群(3.4%)とmetformin群(3.2%)は同等,glyburide群(1.8%)はrosiglitazone群よりも有意に少なかった(p<0.05)。rosiglitazone群では,metformin群およびglyburide群に比して体重増加(6.9%,1.2%,3.3%)および浮腫(14.1%,7.2%,8.5%)が有意に多かったが,消化器イベント(23.0%,38.3%,21.9%)はmetformin群に比して有意に少なく,また低血糖(9.8%,11.6%,38.7%)はglyburide群に比して有意に少なかった(いずれもp<0.001)。
●結論 2型糖尿病患者に対する初回薬物療法において,rosiglitazoneはmetforminおよびglyburideに比して単剤治療が不成功に至るまでの期間を延長した。2型糖尿病患者の薬物療法の選択にあたっては,3剤のリスクおよびベネフィット,有害事象プロファイル,コストのすべてを考慮すべきである。