編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Neil HA, DeMicco DA, Luo D, Betteridge DJ, Colhoun HM, Durrington PN, Livingstone SJ, Fuller JH, Hitman GA, CARDS Study Investigators: Analysis of efficacy and safety in patients aged 65-75 years at randomization: Collaborative Atorvastatin Diabetes Study (CARDS). Diabetes Care 2006; 29: 2378-2384. [PubMed]

高齢者におけるatorvastatinの一次エンドポイントリスク低下が絶対値ではむしろ若年者よりも高い傾向にあるのは,「高齢者だから治療をしないでいいだろう」という言い訳がもうできないデータといってもよいであろう。ただし,この試験を通じて全死亡リスクの有意な低減効果が認められないにもかかわらず,この論文の結論にある「すべての40歳以上の2型糖尿病患者に対してスタチン治療を行うべきであると考えられる」といってしまうのには若干の違和感を覚える。【河盛隆造

●目的 2型糖尿病患者において,HMG-CoA還元酵素阻害薬atorvastatinの心血管疾患(CVD)予防効果および安全性を,高齢者と若年者で比較した。CARDSの事後解析。
一次エンドポイントは致死性および非致死性急性心筋梗塞(MI),無症候性MI,急性冠動脈心疾患(CHD)死,不安定狭心症,CABG,PTCA,その他の冠動脈血行再建術,脳卒中の初回発生。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は3.9年(中央値)。2003年6月試験終了。
●対象患者 2838例:40~75歳でCVD既往のない2型糖尿病患者。
登録基準:LDL-C値≦160mg/dL。トリグリセリド値≦600mg/dL。CVDのリスク因子(高血圧,網膜症,微量アルブミン尿,蛋白尿,現在の喫煙習慣)を1つ以上有する。
除外基準:肝疾患,肝機能障害,アラニンアミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが正常上限の1.5倍を超える,血漿クレアチニン>150μmol/L,重度の腎機能障害,ネフローゼ症候群,クレアチニンホスホキナーゼが正常上限の3倍を超える。
●方法 CARDSでは,プラセボ投与によるrun-in期間(6週)後,atorvastatin 10mg/日群(1428例),プラセボ群(1410例)にランダム化。
本解析では,ベースラインに65~75歳であった1129例(高齢者)と65歳未満であった1709例(若年者)について,atorvastatinのCVD予防効果および有害事象を比較。
●結果 atorvastatin治療による一次エンドポイントリスク低下は,高齢者で38%(95%CI -58~-8,p=0.017),若年者で37%(95%CI -57~-7,p=0.019)で,ともに有意であった。全死亡リスクについてはatorvastatin治療による有意な低下は認められず,高齢者で22%(95%CI -49~18,=0.245),若年者で37%(95%CI -64~9,p=0.098)であった。
4年間に1件の一次エンドポイントを予防するためのnumbers needed to treat(NNT)は,それぞれ21例,33例であった。
atorvastatinの脂質値に対する効果および安全性プロファイルは,高齢者と若年者で同様であった。
●結論 高齢の2型糖尿病患者においてもatorvastatin治療により絶対的および相対的ベネフィットが得られたことから,とくに禁忌とされている場合を除いて,LDL-C値にかかわらず,すべての>40歳の2型糖尿病患者に対してスタチン治療を行うべきであると考えられる。