編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年1月現在,1144報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Hotta N, Akanuma Y, Kawamori R, Matsuoka K, Oka Y, Shichiri M, Toyota T, Nakashima M, Yoshimura I, Sakamoto N, et al.: Long-term clinical effects of epalrestat, an aldose reductase inhibitor, on diabetic peripheral neuropathy: the 3-year, multicenter, comparative Aldose Reductase Inhibitor-Diabetes Complications Trial. Diabetes Care 2006; 29: 1538-1544. [PubMed]

糖尿病神経障害の治療薬としてアルドース還元酵素阻害薬(ARI)が認可されているのはわが国のみである。本検討は,そのARIであるepalrestatを2型糖尿病患者に3年間投与した貴重な試験である。【片山茂裕

●目的 日本人の糖尿病性末梢神経障害患者において,アルドース還元酵素阻害薬epalrestatの長期的有効性および安全性を検討した。
一次エンドポイントは利き腕と反対側の上腕における運動神経伝導速度(MNCV)の変化。二次エンドポイントは他の体性神経機能パラメータ(正中運動神経のF波最小潜時[MFWL],振動覚閾値[VPT]),心血管系の自律神経機能(安静時心電図R-R間隔変動係数),自覚症状。
●デザイン 無作為,オープンラベル,多施設(日本)。
●試験期間 試験期間は1997~2003年。追跡期間は3年。
●対象患者 603例:軽度の糖尿病性末梢神経障害患者。≧20歳。
登録基準:MNCV中央値≧40m/秒,血糖コントロールの安定(HbA1c値≦9%で過去3ヵ月における変動が±0.5%)。
除外基準:糖尿病以外を主要原因とする神経障害,閉塞性動脈硬化症(足関節/上腕血圧比≦0.8),重度の肝機能障害または腎機能障害,他試験への参加,糖尿病性神経障害に対する他の試験薬の使用,プロスタグランジンE1または糖尿病性神経障害の症状に影響を及ぼす薬剤の使用。
●方法 epalrestat 150mg/日(分3)群(295例),対照群(308例)にランダム化。全例でそれまでの糖尿病治療を継続。
●結果 解析可能症例はepalrestat群289例,対照群305例であった。
対照群では3年後にMNCV中央値(p<0.001),正中運動神経のMFWL(p=0.004),VPT(p=0.033)がいずれも有意に悪化していたのに対し,epalrestat群ではMNCV中央値(p=0.687)およびVPT(p=0.150)に有意な変化はみられず,正中運動神経のMFWL(p=0.026)は有意に改善した。これら3つのパラメータには有意な群間差が認められた(MNCV中央値:p=0.001[変化量の群間差は1.6m/秒],正中運動神経のMFWL:p<0.001,VPT:p=0.041)。
心血管系の自律神経機能(心電図R-R間隔変動係数)は,対照群で有意に悪化していたのに対し(p=0.013),epalrestat群では有意な変化はみられず(p=0.113),これについては有意な群間差は認められなかった(p=0.923)。
自覚症状では,四肢のしびれ(上肢:p=0.042,下肢:p=0.030),知覚異常(p=0.015),痙攣(p=0.024)について,epalrestat群で対照群に比して有意な改善が認められた。
MNCV中央値に対するepalrestatの効果は,血糖コントロール良好な患者(HbA1c値<7%),蛋白尿または網膜症を認めない患者,あるいは軽度の細小血管障害(単純網膜症)を有する患者でもっとも顕著であった。
●結論 epalrestat長期投与の忍容性は良好で,糖尿病性神経障害の進行を遅らせ,それに伴う症状を改善した。その効果は,血糖コントロール良好な患者および細小血管障害を認めないあるいは軽度である患者においてとくに顕著であった。