編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Droumaguet C, Balkau B, Simon D, Caces E, Tichet J, Charles MA, Eschwege E, DESIR Study Group: Use of HbA1c in predicting progression to diabetes in French men and women: data from an Epidemiological Study on the Insulin Resistance Syndrome (DESIR). Diabetes Care 2006; 29: 1619-1625. [PubMed]

IFG症例のHbA1c値のカットオフ値が5.9%とかなり高値であることは,このスタディの意味がどこにあるのか疑問である。日本人のメタボリックシンドローム症例におけるHbA1cの平均値といったデータはもちろんないが,将来を見越した生活指導は5%台前半からでも始めるべきであるからだ。【河盛隆造

●目的 HbA1c値および空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値の糖尿病予測能を比較した。
●デザイン 観察研究。
●試験期間 登録期間は1994~1996年。追跡期間は6年。
●対象患者 2820例:DESIRの参加者(30~65歳のフランス人男女3854例)のうち,ベースラインに糖尿病を認めず,6年後に必要なデータの得られた例(男性1383例,女性1437例)。
●方法 6年間の糖尿病の新規発症(FPG値≧7.0mmol/L,または経口糖尿病薬またはインスリン治療)を追跡。多重ロジスティック回帰モデルを用いてHbA1c値の糖尿病予測能を評価するとともに,ROC曲線を用いてHbA1c値およびFPG値の予測能を比較。
●結果 6年後までに糖尿病を発症したのは,女性30例(2.1%),男性60例(4.3%)であった。
男女ともベースラインにおけるHbA1c値の上昇に伴って糖尿病発症リスクが急激に増大し(p<0.001),オッズ比は4.5→5.0%で0.90(95%CI 0.50-1.50),4.5→5.5%で1.50(95%CI 0.70-3.40),4.5→6.0%で5.0(95%CI 2.00-12.80),4.5→6.5%で32.70(95%CI 11.50-92.60)であった。ベースラインにおけるFPG値別(<5.60,5.60~6.09,≧6.10mmol/L)に検討したところ,HbA1c値の糖尿病予測能は≧6.10mmol/Lの症例(空腹時血糖異常[IFG]例)でのみ認められ,IFG例におけるHbA1c値の1%上昇に伴うオッズ比は7.20(95%CI 3.00-17.00,p<0.0001)であった。
ROC曲線下面積による糖尿病予測能は,全例の検討ではFPG値がHbA1c値に比して有意に優れていたが(0.85 vs 0.78,p=0.005),IFG例の検討ではHbA1c値のほうが有意に優れていた(0.60 vs 0.75,p=0.001)。IFG例におけるHbA1c値の至適カットオフ値は5.9%で,感度は64%,特異性は77%であった。
●結論 HbA1c値は糖尿病予測能を有していたが,糖尿病の診断に用いられるFPG値に比べると感度および特異性は低かった。したがって,HbA1c値は空腹時血液検体が得られない場合に用いるか,あるいはFPG値と併せて用いるのがよいと考えられる。IFG例においては,HbA1c値の糖尿病予測能はFPG値よりも良好であり,早期に強化介入を行うべき患者を選別するのに用いることができると考えられる。