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Inoue M, Iwasaki M, Otani T, Sasazuki S, Noda M, Tsugane S: Diabetes mellitus and the risk of cancer: results from a large-scale population-based cohort study in Japan. Arch Intern Med 2006; 166: 1871-1877. [PubMed]

糖尿病患者に肝細胞癌や膵癌が多いとのいくつかの成績が発表されている。また最近では,大腸癌や前立腺癌も多いとの報告がある。
今回の検討は,保健所をベースにした約10万人を10年間追跡した,わが国での貴重な成績である。糖尿病患者では非糖尿病患者に比べて,癌の発生率が男性は27%,女性は21%増加していた。男性においては,肝癌,膵癌,腎癌,結腸癌の有意な増加と,胃癌の増加傾向が示された。女性では,胃癌と肝癌の有意な増加と,卵巣癌の増加傾向が示された。糖尿病専門医は,血糖コントロールのみならず,癌のリスク増大にも留意すべきといえる。【片山茂裕

●目的 日本で実施された大規模コホート研究のデータを用いて,糖尿病の既往と癌発症リスクの関係について検討した。
●デザイン コホート,疫学。
●試験期間 ベースライン期間は1990年1月~1994年12月。2003年12月31日追跡終了。追跡期間は平均10.7年(1,048,474人・年)。
●対象患者 97771例:10保健所(JPHCに参加した11保健所のうち癌に関するデータのない1施設を除外)の管轄地域に居住する40~69歳の日本人男女のうち,ベースラインの質問票調査および2003年12月31日までの追跡を完了した例。男性46548例(平均51.4歳),女性51223例(平均51.8歳)。
●方法 癌の新規発症を追跡調査し,Cox比例ハザードモデルを用いて糖尿病の既往の有無により癌発症の相対リスク(補正ハザード比[HR])を評価。
●結果 ベースラインに糖尿病の既往を有していたのは,男性6.7%,女性3.1%であった。追跡期間に6462例(男性3907例,女性2555例)が新たに癌を発症した。
糖尿病の既往を有する男性では,全癌発症リスクが27%増大していた(3907例[うち糖尿病例366例],HR 1.27,95%CI 1.14-1.42)。とくに肝癌(312例[うち糖尿病例52例],HR 2.24,95%CI 1.64-3.04),膵癌(118例[うち糖尿病例16例],HR 1.85,95%CI 1.07-3.20),腎癌(99例[うち糖尿病例13例],HR 1.92,95%CI 1.06-3.46)の発症リスクには著明な増大を認めた。結腸癌発症リスクも有意な増大を示し(491例[うち糖尿病例46例],HR 1.36,95%CI 1.00-1.85),胃癌発症リスクの増大の有意性はボーダーラインレベルであった(977例[うち糖尿病例87例],HR 1.23,95%CI 0.98-1.54)。
糖尿病の既往を有する女性では,全癌発症リスクはボーダーラインレベルの有意性をもって増大していた(2555例[うち糖尿病例104例],HR 1.21,95%CI 0.99-1.47)。胃癌(362例[うち糖尿病例20例],HR 1.61,95%CI 1.02-2.54)および肝癌(120例[うち糖尿病例10例],HR 1.94,95%CI 1.00-3.73)の発症リスクは有意な増大を示し,卵巣癌発症リスクの増大の有意性はボーダーラインレベルであった(74例[うち糖尿病例5例],HR 2.42,95%CI 0.96-6.09)。
●結論 糖尿病の既往を有する日本人では,すべての癌および特定部位の癌の発症リスクが増大しているものと考えられる。