編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kirkman MS, Shankar RR, Shankar S, Shen C, Brizendine E, Baron A, McGill J: Treating postprandial hyperglycemia does not appear to delay progression of early type 2 diabetes: the Early Diabetes Intervention Program. Diabetes Care 2006; 29: 2095-2101. [PubMed]

acarboseを用いた食後高血糖の改善は,早期2型糖尿病患者の空腹時高血糖の出現を抑制できなかった。すなわち,空腹時高血糖の出現としてとらえられるβ細胞機能の障害を防止できなかったといえる。β細胞機能障害には,食後高血糖に加えて多くの因子が関与するといえる。ただ,空腹時血糖値<126mg/dLの患者では,acarbose投与群でその進行が抑制されたことから,より早期からのmetforminやacarboseなどによる薬物治療,および強力な生活習慣の改善などによる介入が必要といえる。【片山茂裕

●目的 早期2型糖尿病患者において,αグルコシダーゼ阻害薬acarboseによる食後高血糖の改善が糖尿病の進行を予防または遅延させるかを検討した。
一次アウトカムは空腹時高血糖(3ヵ月間隔の2回の測定でFPG値≧140mg/dL)。二次アウトカムは血糖値(試験食摂取による食後血糖値,HbA1c値,OGTT),インスリン抵抗性の指標(HOMA-IR,インスリン感受性指数),β細胞機能の二次的指標(HOMA-β,即時相および遅発相におけるインスリン分泌,プロインスリン-インスリン比)。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設。
●試験期間 追跡期間は5年。
●対象患者 219例:≧25歳で肥満の早期2型糖尿病患者(FPG値<140mg/dLかつOGTT 2時間値≧200mg/dL)。
登録基準:妊娠糖尿病の既往または糖尿病の家族歴。
除外基準:BMI<24kg/m²,過去5年以内の癌,感染性疾患(HIVを含む),過去6ヵ月以内の心イベント,コントロール不良の高血圧あるいはβ遮断薬またはサイアザイド系利尿薬以外の薬剤ではコントロール不良の高血圧,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼまたはアラニンアミノトランスフェラーゼの上昇,血清クレアチニン値>1.4mg/dL(男性)または>1.3mg/dL(女性),治療実施下における空腹時血漿トリグリセリド値>600mg/dL,薬剤に対する忍容性またはアウトカムに影響を及ぼす重篤な疾患または投薬,プロトコール遵守不能の疑い,インフォームドコンセント実施不能。
●方法 患者をacarbose 群(109例),プラセボ群(110例)にランダム化。acarboseは25mg/日より開始し,1週ごとに25mgずつ最大300mg/日[分3]まで増量。
血糖値,インスリン抵抗性の指標,β細胞機能の二次的指標を評価。なお,高血糖クランプ法(インスリン感受性指数ならびに即時相および遅発相におけるインスリン分泌を評価)は無作為に選んだ半数の患者に対して実施。
●結果 acarbose群では,1年目および2年目における食後高血糖がプラセボ群に比して有意に改善した(p<0.01)。しかし,空腹時高血糖の累積発生率については,両群間に有意差は認められなかった(29 vs 34%,p=0.65[生存分析])。OGTT,インスリン抵抗性,β細胞機能についても有意差は認められなかった。
ベースラインにおいてFPG値<126mg/dLであった患者を対象としたpost hoc解析では,FPG値が≧126mg/dLとなった患者はacarbose群で有意に少なかった(27 vs 50%,p=0.04[生存分析])。
●結論 acarboseによる食後高血糖の改善は早期2型糖尿病の進行を抑制しないと思われた。したがって,糖尿病の進行においては,食後高血糖以外の因子がより重要な決定因子となっていると考えられる。一方,FPG値が126mg/dLを超えると,β細胞障害は改善不可能になると考えられる。