編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Breeman A, Bertrand ME, Ottervanger JP, Hoeks S, Lenzen M, Sechtem U, Legrand V, de Boer MJ, Wijns W, Boersma E: Diabetes does not influence treatment decisions regarding revascularization in patients with stable coronary artery disease. Diabetes Care 2006; 29: 2003-2011. [PubMed]

EHS-CRは,ガイドラインの遵守状況や冠動脈インターベンションの予後をみる試験である。今回の報告では,糖尿病の有無が治療法の選択や予後に影響を及ぼすか否かを調査している。その結果,心不全のあるような症例を除いては,糖尿病の有無は治療法の選択(PCIか,CABGか)に影響を与えず,また予後の差も見られなかった。BARI試験などに基づいて,糖尿病患者ではCABGが勧められることが多いが,少なくとも安定狭心症の糖尿病患者での治療方針は,再考の余地があるといえるだろう。【片山茂裕

●目的 安定狭心症患者において,血行再建術(経皮的冠動脈インターベンション[PCI]または冠動脈バイパス術[CABG])に関する選択が糖尿病の有無に影響されるか否かを検討し,また糖尿病が予後に及ぼす影響を検討した。
●デザイン -
●試験期間 登録期間は2001年11月1日~2002年3月1日。追跡期間は1年(中央値356日)。
●対象患者 2928例:EHS-CRの参加者(狭窄度≧50%の心外膜冠動脈を1枝以上認める患者5767例)のうち,安定狭心症患者。うち糖尿病例587例(20%)。
●方法 各対象患者に関して選択された治療(薬物療法,血行再建術[PCI,CABG])を調査。
●結果 糖尿病例では非糖尿病例に比し,冠動脈疾患がより広範囲に及んでいた。
血行再建術が選択されたのは糖尿病例74%,非糖尿病例77%,それらの症例のうちCABGが選択されたのは糖尿病例35%,非糖尿病例33%と,糖尿病の有無による治療選択の相違はみられなかった。多変量解析においても同様の結果であった(補正オッズ比:血行再建術の選択[vs 薬物療法]0.91,95%CI 0.70-1.17,CABGの選択[vs PCI]0.92,95%CI 0.63-1.3)。
しかし,一部のサブグループでは糖尿病の有無は治療選択に影響を及ぼしており,その一例として,軽度心不全(NYHA I~II)を有する患者では,糖尿病例で非糖尿病例に比して血行再建術の選択が有意に多かった(91 vs 67%,p<0.001)。一方,冠動脈疾患がより広範囲に及ぶ患者(左主幹部,多枝,左前下行枝近位)では,治療選択は糖尿病の有無に影響されなかった。
1年後における複合エンドポイント(全死亡,非致死性脳血管事故,非致死性心筋梗塞)は,糖尿病例7.3%,非糖尿病例6.8%であった(補正ハザード比1.0,95%CI 0.7-1.4)。選択された治療にかかわらず,糖尿病の有無による複合エンドポイントへの影響は認められなかった。
●結論 安定狭心症患者において,血行再建術または薬物療法の選択,あるいはCABGまたはPCIの選択に際し,糖尿病は影響を及ぼしていないことが示された。また糖尿病と予後不良の間に関係は認められなかった。