編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Ahmed S, Cannon CP, Murphy SA, Braunwald E: Acute coronary syndromes and diabetes: Is intensive lipid lowering beneficial? Results of the PROVE IT-TIMI 22 trial. Eur Heart J 2006; 27: 2323-2329. [PubMed]

心血管疾患のリスクは,糖尿病患者では非糖尿病患者に比べて2倍に達するといわれている。ACS患者を対象とした本検討でも,糖尿病患者では非糖尿病患者に比して,急性冠動脈イベント発生率が約1.4倍であった。スタチン系薬剤による強化療法の有効性は,糖尿病群でも同程度にみられた。重要なことは,糖尿病患者ではLDL-C値<70mg/dLと高感度C反応性蛋白<2mg/Lの目標達成率が低く,これら患者でのイベント発生率が高かったことである。今後,さらなる治療戦略が検討されるべきであろう。【片山茂裕

●目的 糖尿病を伴う急性冠症候群(ACS)患者において,スタチン系薬剤による強化脂質低下療法の効果を検討した。PROVE IT-TIMI 22のサブ解析。
本解析のエンドポイントは急性冠動脈イベント(死亡,心筋梗塞,再入院を要する不安定狭心症)。
●デザイン 無作為,2×2 factorial,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2000年11月~2001年12月。追跡期間は18~36ヵ月(平均24ヵ月)。
●対象患者 4162例:PROVE IT-TIMI 22の参加者(発症後10日以内のACS患者)。糖尿病例978例,非糖尿病例3184例。
登録基準:24時間以上の病状の安定。
除外基準:過去6ヵ月以内における糖尿病のコントロール不良。
●方法 PROVE IT-TIMI 22では,スタチン系薬剤による標準療法群(pravastatin 40mg/日)と強化療法群(atorvastatin 80mg/日)にランダム化。
本解析では,糖尿病例(病歴,空腹時血糖値≧126mg/dLまたはHbA1c値>7%)と非糖尿病例について,エンドポイントおよび生化学的パラメータの目標値(LDL-C値<70mg/dLかつ高感度C反応性蛋白<2mg/L)に対する両群の効果を比較した。
●結果 急性冠動脈イベント発生率は,糖尿病例で非糖尿病例に比して高かった。しかし,強化療法と標準療法を比較すると,糖尿病例(21.1 vs 26.6%,ハザード比[HR]0.75,95%CI 0.58-0.97,p=0.03)および非糖尿病例(14.0 vs 18.0%,HR 0.76,95%CI 0.64-0.90,p=0.002)で強化療法の有効性は同程度であった(p for interaction=0.97)。強化療法により抑制される急性冠動脈イベントは,糖尿病例では1000例あたり55件,非糖尿病例では40件であった。
強化療法群における生化学的パラメータの目標値達成例は,糖尿病例で非糖尿病例に比して有意に少なかった(37.6 vs 45.4%,p=0.004)。また糖尿病例においては,目標値非達成例では,急性冠動脈イベント発生率が達成例に比して有意に高かった(24.7 vs 17.7%,p=0.021)。
●結論 糖尿病を伴うACS患者では,スタチン系薬剤を用いた強化脂質低下療法により,非糖尿病患者と同程度の急性冠動脈イベントの減少がみられた。しかし,糖尿病患者では生化学的パラメータ目標値の達成例が少なかったことから,これらの高リスク例に対しては別の治療戦略が必要であることが示された。