編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Korf ES, White LR, Scheltens P, Launer LJ: Brain aging in very old men with type 2 diabetes: the Honolulu-Asia Aging Study. Diabetes Care 2006; 29: 2268-2274. [PubMed]

HAASの剖検例で,2型糖尿病患者では,脳梗塞だけでなく,海馬の神経線維性やプラークが多いことが,すでに報告されている。今回のMRIを用いた検討でも,糖尿病患者では,ラクナなどの血管病変のみならず,海馬の萎縮などの神経変性の発症頻度が高かった。治療の進歩により,糖尿病患者も長生きするようになっており,これらの脳の病理学的変化は,認知障害などの要因となると考えられる。【片山茂裕

●目的 老化に伴う脳の病理学的変化のマーカーと2型糖尿病の関係を検討した。
●デザイン 観察研究。
●試験期間 1965年追跡開始。
●対象患者 543例:HAAS(当初はHonolulu Heart Program)の参加者(オアフ島[ハワイ]在住で1900~1919年生まれの日系アメリカ人男性)のうち,5回目の検査(1994~1996年)においてMRIを実施された例。平均81.6歳。
●方法 MRIを用いて,以下の脳の病理学的変化のマーカーを評価:血管損傷のマーカー(梗塞,ラクナ,白質高信号病変[white matter hyperintensity]),神経変性のマーカー(全体的萎縮,海馬の萎縮)。
それらのマーカーと血糖値(2型糖尿病,耐糖能異常[IGT],正常)の関係をロジスティック回帰分析により検討(社会人口統計学的因子および他の血管関連因子を補正)。
●結果 38%が2型糖尿病,25%がIGTを有し,37%は正常血糖値であった。
2型糖尿病例では正常例に比し,ラクナ(オッズ比[OR]1.6,95%CI 1.0-2.6)および海馬の萎縮(OR 1.7,95%CI 0.9-2.9)のリスクが中等度に増大していた。また,血管病変(ラクナまたは梗塞)および海馬の萎縮の両方を発生するリスクは,正常例に比し2倍であった(OR 2.0,95%CI 0.9-4.4)。
2型糖尿病例のうち,長期罹患例(>20年),インスリン投与例,合併症発症例では,脳の病理学的変化がより多く認められた。
●結論 2型糖尿病を有する高齢者では,脳血管損傷および神経変性のリスクが増大していることが示された。これらの病理学的変化は,2型糖尿病患者における認知障害あるいは痴呆の構造的要因になっていると考えられる。