編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Diabetes Control and Complications Trial/Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications Study Research Group, , Musen G, Ryan CM, Silvers N, Cleary P, Waberski B, Burwood A, Weinger K, Bayless M, et al.: Long-term effect of diabetes and its treatment on cognitive function. N Engl J Med 2007; 356: 1842-1852. [PubMed]

厳密な血糖コントロールには低血糖がつきものと考えられているが,大血管障害を抑制できるほどの厳格な血糖コントロールを1型糖尿病患者において行い,低血糖頻度が上昇しても認知機能には悪影響がなかったという本試験の結果は,昨今basal-bolus療法の必要性が再認識されるなかにおいて有用な結果であるといえよう。【河盛隆造

●目的 1型糖尿病患者において,糖尿病治療,HbA1c値,重度の低血糖イベントが認知機能に及ぼす影響を検討した。
●デザイン -
●試験期間 本解析の追跡期間は平均18年。
DCCT:登録期間は1983~1989年,追跡期間は平均6.5年,1993年試験終了。
EDIC:1994年開始,追跡期間は平均12年。
●対象患者 1144例:DCCT(13~39歳の1型糖尿病患者1441例)およびその追跡試験であるEDIC(DCCTを完了した生存者1375例)に参加し,認知機能検査を実施された例。
DCCTの登録基準:罹病期間1~5年で網膜症なし,尿中アルブミン排泄率<40mg/24時間。または罹病期間1~15年できわめて軽度~中等度の非増殖性網膜症あり,尿中アルブミン排泄率≦200mg/24時間。
●方法 DCCTでは,強化療法群,従来療法群にランダム化。強化療法群ではインスリン注射≧3回/日またはインスリンポンプ療法を実施(目標食前血糖値70~120mg/dL,目標HbA1c値<6%,治療目標は重度低血糖の予防)。従来療法群ではインスリン注射1~2回/日を実施(目標血糖値は設定しない,治療目標は高血糖症状および高頻度または重度の低血糖の回避)。本解析の対象者は,強化療法群588例,従来療法群556例。
本解析では,DCCT開始時(平均27歳時)および平均18年後に認知機能検査を実施し,8つの認知機能ドメイン(Problem solving,Learning,Immediate memory,Delayed recall,Spatial information,Attention,Psychomotor and mental efficiency,Motor speedの計24項目)のスコアを評価。DCCTで割り付けられた介入,HbA1c値,昏睡または痙攣を伴う重度の低血糖イベントがそれらの認知機能ドメインに及ぼす影響をANCOVAを用いて検討(ベースラインにおける年齢,性別,教育期間,追跡期間,視力,自己報告による末梢神経障害に起因する知覚喪失,認知機能検査の回数を補正)。
●結果 患者の40%(453例)が昏睡または痙攣を伴う重度低血糖イベントを1回以上発生していた。
割り付けられた介入および重度低血糖イベントの発生回数はいずれも,認知機能ドメインに影響を及ぼしていなかった。HbA1c高値はMotor speed(p=0.001)およびPsychomotor efficiency(p<0.001)の中等度な低下と有意な相関を示したが,その他の認知機能ドメインとの間には相関を認めなかった。
●結論 平均18年にわたって注意深い追跡を行った1型糖尿病患者の大規模コホートでは,再発性の重度低血糖が比較的高頻度に発現していたにもかかわらず,認知機能が長期的に低下しているというエビデンスは得られなかった。