編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Rijkelijkhuizen JM, Nijpels G, Heine RJ, Bouter LM, Stehouwer CD, Dekker JM: High risk of cardiovascular mortality in individuals with impaired fasting glucose is explained by conversion to diabetes: the Hoorn study. Diabetes Care 2007; 30: 332-336. [PubMed]

2003年にADAはIFG基準の下限値を6.1mmol/L(110mg/dL)から5.6mmol/L(100mg/dL)へ引き下げた。本試験では,オランダのコホートスタディであるHoorn Studyで,この変更の影響を検討している。
まず,IFG 5.6症例は33.2%に達し,IFG 6.1症例(10.1%)の約3倍になった。糖尿病への進展率は,IFG 6.1症例では42%であったが,IFG 5.6症例では21%と半減した。NFG例に比べたCVD死のハザード比は,IFG 6.1症例では1.87と有意であったが,IFG 5.6症例では1.37と有意ではなかった。糖尿病へ進展したIFG例のみでみると,IFG 6.1症例でも5.6症例でも,それぞれ2.47倍,2.14倍と有意に高値であった。IFG 5.6症例にはかなりの健常者が含まれているといえ,予防医学的には注意を要する。【片山茂裕

●目的 米国糖尿病学会(ADA)では,空腹時血糖異常(IFG)のカットオフ値を1997年に定めた6.1mmol/Lから2003年には5.6mmol/Lへと引き下げたが,この改訂が心血管疾患(CVD)死リスクの評価に及ぼした影響を検討し,さらにIFGから2型糖尿病への進行とCVD死リスクの関係を検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 1989年試験開始,1996年1月~1998年12月に再評価,2005年追跡終了(再評価時からの追跡期間は平均6.4年)。
●対象患者 1428例:Hoorn Studyの参加者(白人男女2484例)のうち,試験開始時および再評価時に血糖値に関するデータが得られた例。
●方法 1989年(試験開始時)および1996~1998年(再評価時)に血糖値を測定。試験開始時のデータをもとに,1997年および2003年のADA基準により,対象者を空腹時血糖正常(NFG)例,IFG例,糖尿病例に分類(1997年のADA基準:NFG例1217例,IFG例[FPG値6.1~7.0mmol/L:IFG 6.1症例]149例,糖尿病例62例。2003年のADA基準:NFG例878例,IFG例[FPG値5.6~7.0mmol/L:IFG 5.6症例]488例,糖尿病例62例)。
IFG例については,さらに再評価時に糖尿病への進行を認めた症例および認めない症例に分類。
1996~2005年におけるCVD死を追跡し,Cox比例ハザード解析により各症例のCVD死のハザード比(HR[年齢および性別を補正])を算出。
●結果 1996~2005年に81例がCVD死に至った。
CVD死リスクは,IFG 6.1症例ではNFG例に比して有意に増大していたが(HR 1.87[95%CI 1.07-3.25]),IFG 5.6症例では有意な増大はみられなかった(HR 1.37[95%CI 0.87-2.16])。
IFGから糖尿病への進行を認めた症例(IFG 6.1症例の41.6%,IFG 5.6症例の20.7%)では,NFG例に比してCVD死リスクが2倍以上に増大していた(それぞれHR 2.47[95%CI 1.17-5.19],HR 2.14[95%CI 1.12-4.10])。一方,糖尿病への進行を認めなかった症例では,CVD死リスクの有意な増大はみられなかった(それぞれHR 1.50[95%CI 0.72-3.15],HR 1.15[95%CI 0.69-1.93])。
●結論 2003年の改訂後のカットオフ値(5.6mmol/L)を用いた場合のIFG例は,CVD死の高リスク群とはならなかった。ただ, IFGから糖尿病へと進行をきたした症例においてのみ,CVD死リスクの増大が認められた。