編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kilpatrick ES, Rigby AS, Atkin SL: Insulin resistance, the metabolic syndrome, and complication risk in type 1 diabetes: "double diabetes" in the Diabetes Control and Complications Trial. Diabetes Care 2007; 30: 707-712. [PubMed]

非糖尿病患者や2型糖尿病患者では,メタボリックシンドロームの存在が心血管疾患の強い予測因子であることが示されている。したがって,1型糖尿病患者がメタボリックシンドロームを合併すると,"double diabetes"ともいうべき,心血管疾患のきわめて高リスク群となることが懸念される。本検討は,DCCTに参加した患者でこれらの点を解析した事後解析である。
インスリン強化療法群では従来療法群に比べ,メタボリックシンドロームの頻度が高かった(45.4 vs 27.2%)。しかしながら,メタボリックシンドロームまたはインスリン用量は,細小血管障害や大血管障害とは相関しなかった。この結果は,インスリンによる血糖コントロールのベネフィットが,メタボリックシンドロームのリスクよりも大きいことを示している。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,メタボリックシンドローム,インスリン抵抗性,インスリン用量が細小血管障害および大血管障害に対する予測能を有するかを検討した。
●デザイン 無作為。
●試験期間 追跡期間は9年。
●対象患者 1337例:DCCTの参加者(1型糖尿病患者1441例)のうち,白人男女。
DCCTの除外基準:高血圧,重度の脂質代謝異常。
●方法 DCCTでは,強化インスリン療法群と従来療法群にランダム化。
本解析では,メタボリックシンドローム(International Diabetes Federation[IDF]基準),インスリン抵抗性(推定糖処理率[eGDR]により評価),インスリン用量と,合併症(網膜症,腎症,心血管疾患,その他の大血管障害)との関係をCox比例ハザードモデルにより検討。
●結果 ベースラインにおけるeGDRは,網膜症(1mg/kg/分の変化に伴う補正ハザード比[HR]0.75,95%CI 0.69-0.81,p<0.001),腎症(HR 0.88,95%CI 0.80-0.96,p=0.005),心血管疾患(HR 0.70,95%CI 0.56-0.88,p=0.002),その他の大血管障害(HR 0.83,95%CI 0.73-0.96,p=0.009)と強い相関を示した。一方,メタボリックシンドロームおよびインスリン用量とそれらの合併症との間には相関はみられなかった。
メタボリックシンドロームは,両治療群ともにベースラインから9年目まで増加を示し,これはとくに強化療法群において顕著であった(従来療法群15.5→27.2%,強化療法群13.7→45.4%)。また,このメタボリックシンドロームの増加は,主としてBMIの増加によるものであった。
●結論 1型糖尿病患者において,ベースラインにおけるインスリン抵抗性(eGDRにより評価)の上昇は,その後の細小血管障害および大血管障害のリスクの増大と相関を示した。それに比較すると,インスリン用量およびIDF基準によるメタボリックシンドロームの合併症予測能は不良であった。強化療法群ではメタボリックシンドロームの有病率が上昇するものの,血糖値の改善によるベネフィットは,メタボリックシンドローム発症に関連するリスクを上回るものと思われる。