編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Timmer JR, Ottervanger JP, de Boer MJ, Boersma E, Grines CL, Westerhout CM, Simes RJ, Granger CB, Zijlstra F, Primary Coronary Angioplasty vs Thrombolysis-2 Trialists Collaborators Group: Primary percutaneous coronary intervention compared with fibrinolysis for myocardial infarction in diabetes mellitus: results from the Primary Coronary Angioplasty vs Thrombolysis-2 trial. Arch Intern Med 2007; 167: 1353-1359. [PubMed]

糖尿病患者における冠動脈病変は,病変がびまん性であったり,多枝にわたったりすることが多い。したがって,非糖尿病患者に比べると,糖尿病患者ではPCIが有効ではないのではないかと危惧された。
今回のメタアナリシスでは,STEMI後30日の死亡率は,糖尿病患者で非糖尿病患者に比べ約1.6倍と高かった。しかし,PCIは血栓溶解療法に比べ,糖尿病患者においても非糖尿病患者と同程度とまではいかないが,きわめて有効であった。今後,薬剤溶出ステントなどの普及により,さらに成績が改善されることが期待される。【片山茂裕

●目的 糖尿病患者において,ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に対するprimary PCIと血栓溶解療法の有効性を比較した。
●デザイン pooled analysis(メタアナリシス)。
●試験期間 -
●対象患者 -
●方法 MEDLINEを用い,1990年1月~2002年12月に発表された論文のなかから,50例以上のSTEMI患者を対象とし,血栓溶解療法(streptokinaseまたはt-PA)またはprimary PCI(血栓溶解療法は非施行)にランダム化した試験を検索。さらに,検索された論文の参考文献ならびに学会アブストラクトからも同様の試験を検索。
それらの試験データを用いてpooled analysisを行い,糖尿病の有無別にprimary PCIおよび血栓溶解療法のアウトカムを検討。臨床エンドポイントは,30日後における全死亡,再梗塞,死亡または非致死性再梗塞,脳卒中とした。
●結果 19試験,計6315例を解析対象とした。うち877例(14%)が糖尿病患者であった。
30日後の死亡率は,糖尿病患者で非糖尿病患者に比して有意に高かった(9.4 vs 5.9%,p<0.001)。治療別にみると,primary PCIでは血栓溶解療法に比し,糖尿病患者(オッズ比[OR]0.49,95%CI 0.31-0.79,p=0.004)および非糖尿病患者(OR 0.69,95%CI 0.54-0.86,p=0.001)のいずれにおいても,死亡率が低かった。primary PCIの治療効果は糖尿病患者でより大きく,30日後に1例の死亡を回避するために要する患者数は,非糖尿病患者48例,糖尿病患者17例であった。
再梗塞および脳卒中についても,いずれの患者とも,primary PCIでより大きく減少していた(再梗塞のOR:糖尿病患者0.60,95%CI 0.30-1.16,p=0.12,非糖尿病患者0.33,95%CI 0.25-0.44,p=0.001,脳卒中のOR:糖尿病患者0.40,95%CI 0.16-0.99,p=0.04,非糖尿病患者0.58,95%CI 0.39-0.86,p=0.007)。
多変量解析において,primary PCIは糖尿病患者(補正OR 0.50,95%CI 0.31-0.80,p=0.003)および非糖尿病患者(OR 0.68,95%CI 0.54-0.86,p=0.001)における30日後の死亡率低下と独立した相関を示した(interaction p=0.24)。
●結論 STEMIに対し再灌流療法を施行された糖尿病患者では,同様の非糖尿病患者に比して死亡率が高かった。糖尿病患者では,血栓溶解療法に比してprimary PCIのほうがベネフィットがより大きく,これは非糖尿病患者も同様であった。