編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年7月現在,1168報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Patel A, MacMahon S, Chalmers J, Neal B, Woodward M, Billot L, Harrap S, Poulter N, Marre M, et al.: Effects of a fixed combination of perindopril and indapamide on macrovascular and microvascular outcomes in patients with type 2 diabetes mellitus (the ADVANCE trial): a randomised controlled trial. Lancet 2007; 370: 829-840. [PubMed]

実薬群,プラセボ群の両群で様々な降圧薬が用いられており,実薬群のSBP 5.6mmHg,DBP 2.2mmHg低下が心血管イベントの減少をもたらしたと解釈でき,降圧の重要性が示されたといえる。
ALLHAT試験により,糖尿病合併の有無にかかわらず利尿薬の有効性は示されたが,わが国における利尿薬の使用頻度はなお低い。ACE阻害薬と組み合わせた低用量の利尿薬の効果が再度示された。
このトライアルは,降圧レベルを定めないこと,利尿薬とACE阻害薬を除いては制約がないことなど,perindoprilとindapamideの合剤のeffectivenessを見たpragmatic trialである。これまで数多く行われてきた各降圧薬の直接比較と異なり,日常臨床に近い興味深いトライアルである。【景山 茂

●目的 2型糖尿病患者において,ACE阻害薬perindoprilおよび利尿薬indapamide併用による降圧治療の大血管障害および細小血管障害リスクへの有効性を検討した。
一次エンドポイントは,主要大血管イベント(心血管死,非致死性心筋梗塞[MI],非致死性脳卒中)および主要細小血管イベント(腎症の新規発症または悪化,網膜症)の複合エンドポイント。二次エンドポイントは全死亡,心血管死,主要冠イベント(冠動脈心疾患死[突然死を含む],非致死性MI),全冠イベント(主要冠イベント,無症候性MI,冠血行再建術,不安定狭心症による入院),主要脳血管イベント(脳血管疾患死,非致死性脳卒中),全脳血管イベント(主要脳血管イベント,一過性虚血発作,くも膜下出血)。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(20ヵ国,215施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均4.3年(2007年6月追跡終了)。
●対象患者 11140例:診断時≧30歳,かつ試験登録時≧55歳の2型糖尿病患者。平均66歳。
登録基準:主要心血管疾患(脳卒中,MI,一過性虚血発作による入院,不安定狭心症による入院,冠血行再建術,末梢血行再建術,血管疾患に続発する切断術)の既往,または他の心血管疾患リスク因子(主要細小血管疾患[多量アルブミン尿,増殖性糖尿病網膜症,網膜光凝固術,黄斑浮腫,糖尿病に起因すると考えられる片眼の失明]の既往,喫煙習慣,総コレステロール値>6.0mmol/L,HDLコレステロール値<1.0mmol/L,微量アルブミン尿,2型糖尿病罹病歴≧10年,≧65歳)を1つ以上有する。
除外基準:試験薬または目標HbA1c値(≦6.5%)に対する明確な適応または禁忌。登録時における長期インスリン療法の明確な適応。他の試験への参加。
●方法 6週のrun-in期間(perindopril 2mgとindapamide 0.625mgの合剤を投与)後,perindopril-indapamide合剤群(5569例),プラセボ群(5571例)にランダム化。
合剤群では,perindopril 2mgとindapamide 0.625mgより投与開始し,3ヵ月後にそれぞれ4mg,1.25mgに増量。
その他の降圧治療は主治医の判断により継続(サイアザイド系利尿薬は禁止,ACE阻害薬投与患者ではperindoprilに変更)。
●結果 試験終了時に割り付けられた治療を継続していたのは,合剤群73%,プラセボ群74%であった。
追跡期間の血圧は,合剤群でプラセボ群に比し,SBPは5.6mmHg,DBPは2.2mmHg低下した(いずれもp<0.0001)。
一次エンドポイントの発生は,合剤群(15.5%)でプラセボ群(16.8%)に比し9%低下した(相対リスク[RR]0.91,95%CI 0.83-1.00,p=0.04)。大血管イベントと細小血管イベントを分けて検討しても同様の傾向であったが,有意な群間差は認められなかった(大血管イベント:RR 0.92,95%CI 0.81-1.04,p=0.16,細小血管イベント:RR 0.91,95%CI 0.80-1.04,p=0.16)。
全死亡は,合剤群でプラセボ群に比し14%減少したが(7.3 vs 8.5%,RR 0.86,p=0.03),これは主に心血管死が合剤群で18%減少したことによるものであった(3.8 vs 4.6%,RR 0.82,p=0.03)。そのほか合剤群では,全冠イベント(RR 0.86,p=0.02),全腎イベント(RR 0.79,p<0.0001)が有意に低下した。
以上の結果は,ベースラインの血圧値および他の治療薬による影響は受けなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,perindoprilとindapamideの合剤により,主要な大血管および細小血管イベントリスクが低下し,認容性も良好であった。1人の死亡を減らすに要する実薬群のNNTは79人であった。