編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Aksnes TA, Kjeldsen SE, Rostrup M, Omvik P, Hua TA, Julius S: Impact of new-onset diabetes mellitus on cardiac outcomes in the Valsartan Antihypertensive Long-term Use Evaluation (VALUE) trial population. Hypertension 2007; 50: 467-473. [PubMed]

降圧療法中に糖尿病を新規発症した症例では,心疾患リスクが既糖尿病例と同程度に高いことがPIUMA試験で示され,大きな反響を呼んだ。しかしながら,否定的な報告もいくつかある。
今回のVALUEのpost hoc解析では,糖尿病新規発症例での心疾患リスクは,非糖尿病例と既糖尿病例の中間に位置した。この結果は,糖尿病発症リスクを有する症例では,生活習慣の改善や,インスリン抵抗性を改善する降圧薬の選択がきわめて重要であることを示唆している。【片山茂裕

●目的 心血管リスクの高い高血圧患者において,糖尿病の新規発症が心血管アウトカムに及ぼす影響を検討した。
一次エンドポイントは初回心イベントまでの時間(心突然死,致死性または非致死性心筋梗塞[MI],PTCAまたはCABG施行中または施行後の死亡,最近のMIによる死亡[剖検により確認],入院を要する心不全または心不全死,またはMI抑制のための緊急手術)。二次エンドポイントは致死性または非致死性MI,致死性または非致死性心不全,致死性または非致死性脳卒中。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(31ヵ国),パラレル。
●試験期間 追跡期間は平均4.2年。
●対象患者 15245例:≧50歳の未治療または既治療の本態性高血圧患者(未治療者は座位SBP 160~210mmHgかつDBP<115mmHg,またはSBP<210mmHgかつDBP 95~115mmHg,既治療者はSBP<210mmHgかつDBP<115mmHg)で,心血管リスク因子(糖尿病,喫煙,高コレステロール血症,蛋白尿,血清クレアチニン値>150μmol/L,左室肥大)または心血管疾患因子(MIまたは重篤な冠動脈心疾患の既往,末梢血管疾患の既往,脳卒中または一過性脳虚血発作の既往,左室肥大)を有する例。
採用基準:50~59歳の女性は疾患因子1つ以上かつリスク因子2つ以上,男性は疾患因子1つ以上またはリスク因子3つ以上,60~69歳の男女は疾患因子1つ以上またはリスク因子2つ以上,≧70歳の男女は疾患因子1つ以上またはリスク因子1つ以上を有すること。
●方法 VALUEでは,valsartan群,amlodipine群にランダム化。
本解析では,対象患者を,ベースラインに糖尿病(1999年のWHO基準)を有していた5250例,追跡期間に糖尿病を新規発症した1298例,ベースラインおよび追跡期間のいずれにおいても糖尿病を認めなかった8697例に分類し,そのアウトカムをCox回帰モデルにより比較(年齢,糖尿病の有無,左室肥大,ベースラインにおける冠動脈心疾患の有無,割り付けられた治療を補正)。
●結果 ベースラインにおける糖尿病例では,非糖尿病例に比して一次エンドポイントリスク(ハザード比[HR]1.98,95%CI 1.78-2.19,p<0.0001)および心疾患リスク(MIおよび心不全:HR 2.20,95%CI 1.95-2.49,p<0.0001)が有意に増大し,とくに心不全リスクの増大が顕著であった(HR 2.79,95%CI 2.40-3.25,p<0.0001)。また,全死亡リスク(HR 1.41,95%CI 1.28-1.56,p<0.0001)および心疾患死リスク(HR 1.76,95%CI 1.50-2.07,p<0.0001)も有意に増大していた。
新規糖尿病発症例では,非糖尿病例に比して心疾患リスク(HR 1.43,95%CI 1.16-1.77,p=0.0008),とくに心不全リスクが有意に増大していた(HR 1.41,95%CI 1.06-1.87,p=0.0168)。
●結論 降圧療法実施下で糖尿病を新規発症した患者における心疾患リスクは,既知の糖尿病患者と非糖尿病患者の中間の値を示した。したがって,糖尿病発症リスクを有するそれらの患者を特定し,生活習慣の改善および薬物療法を行うことが重要である。