編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Torp-Pedersen C, Metra M, Charlesworth A, Spark P, Lukas MA, Poole-Wilson PA, Swedberg K, Cleland JG, Di Lenarda A, Remme WJ, et al.: Effects of metoprolol and carvedilol on pre-existing and new onset diabetes in patients with chronic heart failure: data from the Carvedilol Or Metoprolol European Trial (COMET). Heart 2007; 93: 968-973. [PubMed]

2つのβ遮断薬を検討したCOMET試験で,開始時に糖尿病を認めなかった症例において,糖尿病新規発症や糖尿病関連イベントを検討したpost hoc解析である。carvedilolはmetoprololに比べて,両指標を約22%抑制した。carvedilolのもつα遮断作用か,抗酸化ストレス作用なのか明らかではないが,carvedilolの優位性を示した文献である。【片山茂裕

●目的 心不全患者において,β遮断薬metoprololおよびcarvedilolが糖尿病の新規発症に及ぼす影響を比較した。
●デザイン レトロスペクティブ解析(COMETは無作為,二重盲検,パラレル,多施設[316施設])。
●試験期間 登録期間は1996年12月~1999年1月。2002年11月追跡終了。
●対象患者 3029例:COMETの参加者(慢性心不全患者)。
登録基準:NYHA分類II~IV。利尿薬投与の必要。過去2年以内の心血管障害による入院歴。併用薬(ACE阻害薬を含む)のレジメンが4週以上不変。左室駆出率<35%。
除外基準:強心薬静注の必要。Ca拮抗薬(diltiazemまたはverapamilクラス),amiodarone(>200mg/日),クラスIの抗不整脈薬の使用。過去30日以内の試験薬の投与。β遮断薬の投与禁忌。過去2ヵ月以内の急性冠症候群または症候性/持続性の心室性不整脈。コントロール不良の高血圧。血行力学的に重度の弁膜症。既知の薬物またはアルコール依存症。コンプライアンス不良。治療が困難にするあるいは期待余命を短縮させる重篤な疾患。
●方法 COMETでは,carvedilol 50mg/日(分2)群(1511例:6.25mg/日[分2]より開始,2週ごとに倍増),metoprolol 100mg/日(分2)群(1518例:10mg[分2]より開始,2週ごとに倍増)にランダム化。
本解析では,糖尿病関連イベント(糖尿病性昏睡,糖尿病性壊疽,糖尿病性足病変,耐糖能異常,高血糖)および糖尿病新規発症(臨床診断,複数回の血糖高値,血糖降下薬の使用)について,ベースラインにおける糖尿病の有無別,治療群別に検討。
●結果 ベースラインに糖尿病を認めたのは731例(24.1%)であった。
ベースラインに糖尿病を認めなかった2298例の検討では,糖尿病関連イベントはcarvedilol群よりもmetoprolol群で有意に多く(10.6%[122/1151例]vs 13.0%[149/1147例],ハザード比[HR]0.78,95%CI 0.61-0.99,p=0.039),糖尿病の新規発症率もmetoprolol群で有意に高かった(10.3%[119/1151例]vs 12.6%[145/1147例],HR 0.78,95%CI 0.61-0.997,p=0.048)。また,血糖値は両群ともに,試験期間に次第に上昇する傾向が認められた(p<0.0001)
ベースラインの糖尿病患者では,非糖尿病患者に比して死亡率が有意に上昇していた(45.3 vs 33.9%,HR 1.45,95%CI 1.28-1.65,p<0.0001)。
糖尿病の有無にかかわらず,死亡リスクはcarvedilol群で低下し,その程度は同等であった(相対リスク[vs metoprolol群]:糖尿病患者0.85,95%CI 0.69-1.06,非糖尿病患者0.82,95%CI 0.71-0.94)。
●結論 5年間にわたる検討で,心不全患者では糖尿病の罹患率および新規発症率がいずれも高く,血糖値は次第に上昇する傾向にあることが示された。糖尿病の新規発症は,carvedilol投与下よりもmetoprolol投与下に多く認められた。