編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Lipscombe LL, Gomes T, Levesque LE, Hux JE, Juurlink DN, Alter DA: Thiazolidinediones and cardiovascular outcomes in older patients with diabetes. JAMA 2007; 298: 2634-2643. [PubMed]

TZDであるrosiglitazoneが心筋梗塞や心血管死を増加させると報告され,大きな議論を呼んだことは記憶に新しい (N Engl J Med 2007; 356: 2457)。66歳以上の高齢者を対象とした今回の症例対照研究でも,他の経口血糖降下薬に比べ,TZD,とくにrosiglitazoneがCHFおよびAMIによる受診や全死亡を増大させていた。pioglitazoneについては使用例が少なく,今回の検討ではそのような関連は明らかでなかった。【片山茂裕

●目的 高齢糖尿病患者においてチアゾリジンジオン系薬剤(TZD)治療に伴ううっ血性心不全(CHF),急性心筋梗塞(AMI),死亡のリスクを他の経口血糖降下薬(OHA)による治療と比較した。
一次アウトカムはCHFによる受診(救急部受診または入院)。二次アウトカムはAMIによる受診(救急部受診または入院),全死亡。
●デザイン コホート内症例対照研究(nested case-control study)。
●試験期間 追跡期間は3.8年(中央値)。
●対象患者 159,026例:Ontario Diabetes Databaseに登録された≧66歳の糖尿病患者で,2002年4月1日~2005年3月31日に1種類以上のOHAを処方された例。平均74.7歳。
除外基準:過去1年以内のインスリン投与歴(追跡期間のインスリン投与開始例は対象患者に含めた)。
●方法 カナダ・オンタリオ州のヘルスケア関連データベースを用いて2006年3月31日までのアウトカム発生状況を調査。個々のアウトカム発生例について,予後因子(年齢,性別,罹病期間,過去5年以内の心血管疾患の既往など)をマッチさせたアウトカム非発生例を最大5例まで選出。
アウトカム発生時の血糖降下薬の使用状況を調査し,TZD単独例(rosiglitazoneまたはpioglitazoneの単独投与:229例),TZD併用例(いずれかのTZDおよび他のOHAの併用投与:1463例),他のOHA併用例(OHAの2剤以上の併用投与:30076例)におけるアウトカム発生リスクを比較。
●結果 追跡期間に12491例(7.9%)がCHFにより受診,12578例(7.9%)がAMIにより受診し,30265例(19%)が死亡した。
CHFによる受診は,他のOHA併用例(3478件)に比し,TZD単独例(78件:補正rate ratio[RR]1.60,95%CI 1.21-2.10,p<0.001)およびTZD併用例(508件:RR 1.31,95%CI 1.17-1.47,p<0.001)で有意に増大していた。
AMIによる受診は,他のOHA併用例(3695件)に比し,TZD単独例(65件:RR 1.40,95%CI 1.05-1.86,p=0.02)で有意に増大していたが,TZD併用例では有意差はなかった(RR 0.96,p=0.49)。
全死亡は,他のOHA併用例(5529件)に比し,TZD単独例(102件:RR 1.29,95%CI 1.02-1.62,p=0.03)およびTZD併用例(497件:RR 1.24,95%CI 1.11-1.39,p<0.001)で有意に増大していた。
TZD投与(単独あるいは他のOHAとの併用投与)に伴う各アウトカムのリスク増大は,rosiglitazoneにのみ認められた。
●結論 高齢糖尿病患者において,TZD(主としてrosiglitazone)治療は,他のOHAの併用投与に比較して,CHF,AMI,死亡のリスクを増大させた。