編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bingley PJ, Mahon JL, Gale EA, European Nicotinamide Diabetes Intervention Trial Group: Insulin resistance and progression to type 1 diabetes in the European Nicotinamide Diabetes Intervention Trial (ENDIT). Diabetes Care 2008; 31: 146-150. [PubMed]

1型糖尿病発症の高リスク群において,インスリン抵抗性は全体としては糖尿病の発症に大きくは影響を与えなかった。しかしながら,インスリンの初期分泌が既に障害されている症例では,インスリン抵抗性の存在は糖尿病の発症に関連した。これらの結果は,既報のDPT-1やSEARCHの結果とも概ね一致しているといえる。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病発症の高リスク例において,インスリン抵抗性が1型糖尿病発症リスクの評価に及ぼす影響を検討した。
●デザイン 無作為,プラセボ対照。
●試験期間 試験期間は5年,追跡期間は4.21年(中央値)。
●対象患者 213例:ENDITの参加者(1型糖尿病患者の一親等親族で膵島細胞抗体[ICA]陽性)のうち,<25歳かつICA以外の自己抗体を有する例。
ENDITの登録基準:1つ以上の検体でICA≧20 JDF-U(Juvenile Diabetes Foundation Unit)かつ他の検体でICA≧5 JDF-U。
ENDITの除外基準:糖尿病(OGTTにより評価)。
●方法 ENDITでは,経口徐放性nicotinamide群,プラセボ群に無作為割付け。
本解析では,OGTTおよび静脈内ブドウ糖負荷試験(IVGTT)を実施するとともに,放射免疫測定法によりGAD抗体,IA-2抗体,インスリン抗体を測定し,またHOMA法によりインスリン抵抗性(HOMA2-IR)を評価。Cox回帰分析により,糖尿病発症リスクと相関する因子を検討。
●結果 追跡期間に105例が糖尿病を発症した。5年間の累積糖尿病発症リスクは54.1%(95%CI 46.0-62.3)であった。
多重Cox回帰分析では,ベースラインにおける初期インスリン反応,ICA以外の抗体マーカー数,OGTT 2時間値が糖尿病発症リスクと独立した有意な相関を示したが(いずれもp<0.0001),HOMA2-IRはボーダーラインであった(p=0.056)。
初期インスリン反応の低下の有無によりサブグループ解析を行ったところ,初期インスリン反応が低下している患者においては,HOMA2-IRは糖尿病発症の独立した予測因子であったが(p=0.025),初期インスリン反応が維持されている患者では,糖尿病発症とHOMA2-IRに相関はみられなかった(p=0.295)。
●結論 1型糖尿病発症の高リスク例(抗体陽性かつ1型糖尿病患者の近親者)において,インスリン分泌の著明な低下を認める場合はインスリン抵抗性により1型糖尿病発症が促進されるが,インスリン分泌が比較的維持されている場合は,インスリン抵抗性による影響はみられなかった。