編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group, , Miller ME, Byington RP, Goff DC, Bigger JT, Buse JB, Cushman WC, Genuth S, Ismail-Beigi F, et al.: Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559. [PubMed]

ACCORD試験は,心血管疾患の高リスクの糖尿病患者(10251例)で,血糖・血圧・コレステロ-ルの管理を2×2で強化療法群と通常療法群に割付け,心血管疾患の発症をみた試験である。強化療法群では,生活習慣の改善に加え2つの血糖降下薬を使用し,必要に応じ頻回のインスリン注射を追加し,血糖自己測定も3~8回/日行った結果,HbA1c値は強化療法群で6.4%に低下した(通常療法群は7.5%)。ところが,平均3.5年後の全死亡は通常療法群の203件(3.96%,1.14%/年)に比べ,強化治療群は257件(5.01%,1.41%/年)となり,そのハザード比は1.22と有意に高く,心血管死のハザード比も1.35と有意に高かった。このため,安全性委員会から血糖降下アームの中止が勧告され,2008年2月に中止された。
厳格な血糖コントロールがなぜ死亡率を高めたのか,現段階での解析ではその理由はよくわかっていない。10年近い糖尿病癧を有する患者では厳格な血糖コントロールをしても遅すぎるのか,あるいはHbA1c値<6.0%を目指した強化療法群では,約半年で6.5%ぐらいに達しており,急激な血糖コントロールが有害なのであろうか。強化療法群ではインスリンやrosiglitazoneの使用頻度が高いが,インスリン使用例で死亡のハザード比がやや高いものの,使われた薬剤や低血糖の頻度とも必ずしも関連が明らかでない。
ただ,登録時にHbA1c値≦8.0%であった群や心血管疾患のなかった群では,強化療法群で一次エンドポイントが低値であった。現在すべての患者が通常療法群とされ,2008年度中には試験が終了予定である。SBP<120mmHgを目指した厳格な血圧管理(血圧は126/67mmHgに低下)や,beyond cholesterolを目指したスタチン系薬剤とfenofibrate併用の脂質管理試験(LDL-C値75mg/dL)は続行中である。【片山茂裕

●目的 心血管疾患(CVD)または心血管(CV)リスク因子を有する2型糖尿病患者において,HbA1c値を正常範囲に低下させる強化療法のCVイベント減少効果を標準療法と比較検討した。
一次アウトカムは非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,CV死の複合エンドポイント。
●デザイン 無作為,多施設(77施設),2×2 factorial,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均3.5年。登録期間は2001年1月~6月(1174例)および2003年2月~2005年10月(9077例)。
●対象患者 10251例:高リスクの2型糖尿病患者。HbA1c値≧7.5%(中央値8.1%)。平均62.2±6.8歳。女性38%。CVイベント既往者35%。
採用基準:40~79歳(CVDを有する例)または55~79歳(動脈硬化,アルブミン尿,左室肥大の解剖学的特徴を有し,かつCVリスク因子[脂質異常症,高血圧,喫煙,肥満]を2つ以上有する例)。
除外基準:頻回または最近の重症低血糖イベント,家庭血糖測定またはインスリン注射を拒否,BMI>45,血清クレアチニン値>1.5mg/dL,他の重篤な疾患。
●方法 強化療法群(5128例)または標準療法群(5123例)にランダム化。
目標HbA1c値:強化療法群は<6.0%,標準療法群は7.0~7.9%。
血糖降下薬は市販されている薬剤から担当医の裁量で使用。
●結果 強化療法群の死亡率が高かったため,2008年2月,予定より17ヵ月早く試験は中止された。
1年後のHbA1c値(中央値)は,強化療法群6.4%,標準療法群7.5%であった。
追跡期間の一次アウトカム発生は両群で同等であったが(強化療法群352例[6.9%] vs 標準療法群371例[7.2%],ハザード比[HR]0.90,95%CI 0.78-1.04,p=0.16),死亡例は強化療法群で有意に多かった(257例[5.0%] vs 203例[4.0%],HR 1.22,95%CI 1.01-1.46,p=0.04)。
介助を要する低血糖の発生(16.2 vs 5.1%)および体重増加>10kg(27.8 vs 14.1%)は強化療法群で有意に多かった(いずれもp<0.001)。
●結論 高リスクの2型糖尿病患者において,HbA1c値を正常範囲に低下させる強化療法は,標準療法に比し死亡率を上昇させ,CVイベント低下効果は認められなかった。