編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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HAPO Study Cooperative Research Group, , Lowe LP, Dyer AR, Trimble ER, Chaovarindr U, Coustan DR, Hadden DR, McCance DR, Hod M, et al.: Hyperglycemia and adverse pregnancy outcomes. N Engl J Med 2008; 358: 1991-2002. [PubMed]

母体の耐糖能異常による不良な妊娠アウトカムに対するリスクの検討は,これまでにも散見されるが,これほどの対象患者数,多国および多施設にわたる検討はなく,信頼性の高いデータといえる。妊娠期の血糖コントロールの重要性を傍証するきわめて重要なエビデンスといえよう。【河盛隆造

●目的 母体の耐糖能異常による不良な妊娠アウトカムのリスクを検討した。
一次アウトカムは出生時体重>在胎週齢における90パーセンタイル,初回帝王切開,臨床的新生児低血糖,臍帯血中の血清Cペプチド値>90パーセンタイル。二次アウトカムは早産(37週以前),肩甲難産または分娩損傷,新生児集中治療の必要,高ビリルビン血症,子癇前症。
●デザイン 多施設(9ヵ国,15施設)。
●試験期間 登録期間は2000年7月~2006年4月。
●対象患者 23,316例:妊娠24~32週の75g OGTTにおいて,糖尿病を認めなかった女性。平均29.2歳。
登録基準:2時間値≦200mg/dLまたは空腹時血糖ブドウ糖(FPG)値≦105mg/dL。
除外基準:<18歳,他施設での出産予定,最終月経期間が不明かつ妊娠6~24週に超音波検査非実施,32週までにOGTT実施不能,多胎妊娠,排卵誘発剤または体外受精による受胎,登録前の血糖測定または妊娠後の糖尿病の診断,妊娠前の糖尿病の診断または薬物療法の必要,HAPO試験の障害となる他試験への参加,HIVあるいはB型またはC型肝炎ウイルスへの感染,HAPO試験参加歴,通訳なしで会話不能。
●方法 妊娠24~32週に75g OGTTを実施。FPG値,1時間値,2時間値と一次および二次アウトカムの関係を明らかにするため,FPG値の1SD(6.9mg/dL)の上昇,1時間値の1SD(30.9mg/dL)の上昇,2時間値の1SD(23.5mg/dL)の上昇に伴う各アウトカムの補正オッズ比を算出。
●結果 FPG値の1SDの上昇,1時間値の1SDの上昇,2時間値の1SDの上昇に伴う一次アウトカムのオッズ比は,出生時体重>90パーセンタイルはそれぞれ1.38(95%CI[以下同]1.32-1.44),1.46(1.39-1.53),1.38(1.32-1.44),臍帯血中の血清Cペプチド値>90パーセンタイルはそれぞれ1.55(1.47-1.64),1.46(1.38-1.54),1.37(1.30-1.44),初回帝王切開はそれぞれ1.11(1.06-1.15),1.10(1.06-1.15),1.08(1.03-1.12),新生児低血糖はそれぞれ1.08(0.98-1.19),1.13(1.03-1.26),1.10(1.00-1.12)であり,とくに出生時体重>90パーセンタイルおよび臍帯血中の血清Cペプチド値>90パーセンタイルは,血糖値と強い相関を示した。一次アウトカムのリスク増大を示す明らかな閾値は認められなかった。
二次アウトカムについても,血糖値との間に有意な相関が認められたが,それらの相関は二次アウトカムに比較して弱かった。
●結論 糖尿病レベル以下の場合も,母体の血糖値の上昇は,出生時体重の増加および臍帯血中の血清Cペプチド値の上昇と強く連続的な相関を示した。