編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sjolie AK, Klein R, Porta M, Orchard T, Fuller J, Parving HH, Bilous R, Chaturvedi N, DIRECT Programme Study Group: Effect of candesartan on progression and regression of retinopathy in type 2 diabetes (DIRECT-Protect 2): a randomised placebo-controlled trial. Lancet 2008; 372: 1385-1393. [PubMed]

2型糖尿病患者の40%は診断時にすでに網膜症を有しており,またその22%はその後の6年間に網膜症を発症するといわれている。また,血糖と血圧の厳格なコントロールは網膜症の進展を阻止するといわれている。ARBが腎症や心血管疾患を減少させることがいくつかの試験で証明されているが,網膜症については不明である。
今回の検討は,ARBであるcandesartanが2型糖尿病患者の網膜症の進展を抑制できるかをみた初めての試験である。candesartanは網膜症の進展を有意ではないものの13%減少させ,さらには網膜症の改善がcandesartan群で34%有意に高かった。直接的機序は今回の検討では不明であるが,血圧低下やレニン-アンジオテンシン系の抑制によりアンジオテンシンIIの作用が低下し,VEGFなどの成長因子の低下や初期の滲出病変や後期の虚血病変の改善などが挙げられるかもしれない。いずれにしても,軽~中等度の網膜症をARBが改善することが示唆される重要な成績であろう。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬candesartanの網膜症進展抑制効果を検討した。
一次エンドポイントは,網膜症の進展(ETDRSスケールの3段階以上の変化)。二次エンドポイントは網膜症の回復,増殖性糖尿病網膜症および/または臨床的に重大な黄斑浮腫の発症。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(309施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2001年8月~2004年2月。2008年3月追跡終了。追跡期間は4.7年(中央値)。
●対象患者 1905例:正常アルブミン尿で,正常血圧または治療中の高血圧を有し,軽度~中等度の網膜症を認める2型糖尿病患者。
採用基準:37~75歳,糖尿病罹病歴1~20年,糖尿病診断時年齢≧36歳で診断後1年以内に持続的インスリン治療を開始しない,血圧≦130/85mmHg(未治療例)または≦160/90mmHg(降圧薬治療例),軽度~中等度の非増殖性網膜症。
除外基準:網膜写真の判定を不可能にする眼疾患(白内障混濁,閉塞隅角緑内障など),臨床的に重篤な黄斑浮腫または増殖性網膜症,狭窄性弁膜疾患,脳卒中,心筋梗塞,妊娠または授乳中の女性,腎不全(血清クレアチニン値≧110μmol/L[女性]または≧130μmol/L[男性]),起床時の尿中アルブミン排泄率≧20μg/分,レニン-アンジオテンシン系阻害薬の服用。
●方法 candesartan群(951例),プラセボ群(954例)にランダム化。
candesartan群では16mg/日から投与開始し,1ヵ月後に32mg/日に倍増。16mg/日または8mg/日への減量は随時可能。
●結果 網膜症の発症はcandesartan群161例(17%),プラセボ群182例(19%)であった(ハザード比[HR]0.87,95%CI 0.70-1.08,p=0.1994)。
網膜症の回復はcandesartan群で有意に高率であった(180例[19%] vs 136例[14%],HR 1.34,95%CI 1.08-1.68,p=0.0091)。増殖性糖尿病網膜症または黄斑浮腫の発症は両群で同等であった(HR 0.971,p=0.773)
試験期間のETDRSレベルは,candesartan群で有意に改善された(オッズ比1.17,95%CI 1.05-1.30,p=0.003)。
●結論 2型糖尿病患者において,candesartanによる網膜症発症抑制効果は認められなかったが,網膜症の回復は促進された。