編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Howard BV, Roman MJ, Devereux RB, Fleg JL, Galloway JM, Henderson JA, Howard WJ, Lee ET, Mete M, Poolaw B, et al.: Effect of lower targets for blood pressure and LDL cholesterol on atherosclerosis in diabetes: the SANDS randomized trial. JAMA 2008; 299: 1678-1689. [PubMed]

SANDS 試験では,2型糖尿病を有するアメリカンインディアンで,心血管疾患の既往がなく,過去12ヵ月のLDL-C値≧100mg/dL,SBP≧130mmHgの499例を,標準治療群と厳格治療群に無作為に割付けて3年間追跡した。両群における目標値は,それぞれLDL-C値≦100mg/dLまたは≦70mg/dL,SBP≦130mmHg または≦115mmHgに設定され,NCEP-ATP IIIあるいはJNC-6に従って治療が行われた。その結果,LDL-C値はそれぞれ104mg/dL,72mg/dL,SBPはそれぞれ129mmHg,117mmHgにコントロールされた。ただし,HbA1c値は8.2%,8.3%であった。
このような治療を行った場合,頸動脈エコーでのIMTや心エコーでのLVMIは厳格治療群で有意に改善し,すなわち動脈硬化病変が退縮したことを示唆している。しかしながら,心血管イベントの発症率には差を認めなかった。全体での心血管イベント発症率は1.5/100人・年と,通常このような集団で予測される2.2~3.6/100人・年よりはるかに低値であった。このことは,標準治療とされた目標値が,現在通常行われる厳格なコントロールに相当していることに由来するのかもしれない。今回の厳格治療で目標とされたさらに厳しい目標値が達成され,さらに長期間の観察が可能ならば,動脈硬化病変が退縮し,心血管イベント発症率もさらに低下すると期待できるかもしれない。【片山茂裕

●目的 成人2型糖尿病患者において,LDL-CおよびSBPの厳格な目標値と標準的な目標値が潜在性アテローム性動脈硬化の進行に及ぼす効果を比較検討した。
一次エンドポイントはアテローム性動脈硬化の進行(総頸動脈内膜-中膜壁肥厚[IMT]の変化により評価)。二次エンドポイントは頸動脈および心エコー検査におけるその他の評価項目,臨床イベント。心血管疾患(CVD)エンドポイントは致死性冠動脈心疾患または脳卒中,非致死性心筋梗塞または脳卒中,不安定狭心症,冠動脈血行再建術,頸動脈血行再建術。
●デザイン 無作為,オープン,多施設(米国4施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2003年5月~2004年7月,試験期間は3年(2003年4月~2007年4月)。
●対象患者 499例:≧40歳でCVD既往のないアメリカインディアンの2型糖尿病患者。平均56歳。
登録基準:過去12ヵ月におけるLDL-C値≧100mg/dLかつSBP>130mmHg。
除外基準:NYHA IIIまたはIVの心不全,SBP>180mmHg,肝トランスアミナーゼが正常上限の2倍を超える,甲状腺機能亢進症またはネフローゼ症候群に起因する原発性高脂血症または高コレステロール血症。
●方法 厳格治療群(252例),標準治療群(247例)にランダム化。
SBP目標値は厳格治療群≦115mmHg,標準治療群≦130mmHgとし,JNC-6に準じて以下のアルゴリズムによりマネジメント:ACE阻害薬(不耐性の場合はAII受容体拮抗薬→hydrochlorothiazide→Ca拮抗薬併用→β遮断薬併用→α遮断薬および他の血管拡張薬併用。
LDL-C目標値は厳格治療群≦70mg/dL,標準治療群≦100mg/dLとし,NCEP-ATP IIIの勧告に準じて以下のアルゴリズムによりマネジメント:生活習慣の改善→スタチン系薬剤→ezetimibe併用。
ベースライン,18,36ヵ月後に頸動脈エコー検査(頸動脈IMT,頸動脈断面積,プラークスコア)および心エコー検査(左室心筋重量,左室心筋重量係数[LVMI],駆出率)を行い,潜在性アテローム性動脈硬化の進行状況を評価。
●結果 両群ともLDL-CおよびSBPの目標値はほぼ達成され,試験終了まで維持された。試験終了前12ヵ月における平均LDL-C値は厳格治療群72mg/dL(95%CI[以下同]69-75),標準治療群104mg/dL(101-106),平均SBPはそれぞれ117mmHg(115-118),129mmHg(128-130)であった。
IMTは,厳格治療群ではベースラインに比して低下したのに対し,標準治療群ではやや増加し,36ヵ月後には有意差が認められた(-0.012 vs 0.038mm,p<0.001)。厳格治療群では頸動脈断面積も低下し(-0.02 vs 1.05mm²,p<0.001),LVMIの低下も標準治療群に比して有意に大きかった(-2.4 vs -1.2g/m2.7,p=0.03)。
CVDエンドポイントについては両群間に有意差は認められなかった(1.6 vs 1.5/100人・年,p=0.87)。
すべての有害事象(38.5 vs 26.7%,p=0.005)および降圧薬に関連する有害事象(26.6 vs 15.4%,p=0.002)は,厳格治療群で多かった。
●結論 成人2型糖尿病患者において,LDL-CおよびSBPの厳格な目標値に基づいてマネジメントを行うことにより,標準的な目標値に比して,頸動脈IMTの改善およびLVMIのより大きな減少が得られた。一方,CVDイベントは予想より少なく,両群間に有意差は認められなかった。また,降圧薬に関連する有害事象は厳格治療群でより多かった。