編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年1月現在,1144報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
de Galan BE, Perkovic V, Ninomiya T, Pillai A, Patel A, Cass A, Neal B, Poulter N, Harrap S, Mogensen CE, et al.: Lowering Blood Pressure Reduces Renal Events in Type 2 Diabetes. J Am Soc Nephrol 2009; 20: 883-92. [PubMed]

ADVANCE試験は,心血管疾患リスクを有する55歳以上の2型糖尿病患者11140例で行われた試験である。4.3年間の血圧降下アームはすでに報告されている(Lancet 2007; 370: 829-40)。ACE阻害薬perindopril(2mg)とサイアザイド系利尿薬類似薬indapamide SR(0.625mg)の合剤群では,プラセボ群に比べ大血管および細小血管障害が14%減少し,心血管死は18%減少した。今回,腎症に関するサブ解析が発表された。腎に関する一次複合エンドポイントは,合剤群でプラセボ群に比べて21%減少し,微量アルブミン尿や腎症(蛋白尿)の新規発症はそれぞれ21%,31%減少した。また,アルブミン尿の1段階以上の改善や正常アルブミン尿への回復も16%あるいは15%増加した。
本解析で興味深いことは,ベースラインのどの血圧レベルでも腎症リスクは減少しており,SBP<120mmHgあるいはDBP<70mmHgのサブグループでも効果がみられたことである。さらに,治療中に到達した血圧レベルでの解析では,腎に関する一次複合エンドポイントは血圧レベルの低下とともに直線的に減少し,SBP<110mmHg,DBP<65mmHgで最低値となったことである。これらの結果は,今後の腎症治療の降圧目標値に関する新しい指標となるかもしれない。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,ACE阻害薬perindoprilおよび利尿薬indapamide併用による降圧治療の腎アウトカムに対する効果を検討し,その効果が最近引き下げられた降圧目標値を達成した患者においても認められるかを検討した。
一次複合エンドポイントは微量アルブミン尿新規発症(尿中アルブミン-クレアチニン比[UACR]30~300μg/mg)+腎症新規発症(蛋白尿新規発症[UACR>300μg/mg])+血清クレアチニンの二倍上昇による>200μmol/L+末期腎疾患(腎代替療法の必要または腎死)。その他のエンドポイントは一次複合エンドポイントの各アウトカム,アルブミン尿の進展,アルブミン尿の回復,一次複合エンドポイント+非致死性大血管イベント(非致死性脳卒中,非致死性心筋梗塞)+全死亡。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(20ヵ国,215施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均4.3年。2007年6月試験終了。
●対象患者 11140例:≧55歳の2型糖尿病患者。平均血圧145/81mmHg。<130/80mmHgの患者20%。
●方法 6週のrun-in期間後,perindopril-indapamide合剤群(5569例),プラセボ群(5571例)にランダム化。
合剤群では,perindopril 2mgとindapamide 0.625mgより投与開始し,3ヵ月後にそれぞれ4mg,1.25mgに増量。
その他の降圧治療は主治医の判断により継続(ACE阻害薬投与患者ではperindopril 2~4mg/日に変更,サイアザイド系利尿薬は禁止)。
●結果 一次複合エンドポイントの発生は合剤群1243例(22.3%),プラセボ群1500例(26.9%)であった(ハザード比[HR]0.79,95%CI 0.73-0.85,p<0.0001)。
合剤群ではアルブミン尿の進展(HR 0.78,95%CI 0.72-0.84,p<0.0001),微量アルブミン尿新規発症(HR 0.79,95%CI 0.73-0.86,p<0.0001),腎症新規発症(HR 0.69,95%CI 0.54-0.88,p=0.0027)のリスクが有意に低下し,アルブミン尿の1ステージ以上の回復(HR 1.16,95%CI 1.06-1.28,p=0.0017),正常アルブミン尿への回復(HR 1.15,95%CI 1.04-1.27,p=0.0059)は有意に増加した。
ベースラインのSBPにより4つのグループに分類して一次複合エンドポイントリスクを検討すると,いずれのグループでもリスクは低減していた(<120mmHg:HR 0.70,120~139mmHg:HR 0.85,140~159mmHg:HR 0.75,≧160mmHg:HR 0.81[p for trend=0.75])。DBPについても同様であった(<70mmHg:HR 0.84,70~79mmHg:HR 0.77,80~89mmHg:HR 0.76,≧90mmHg:HR 0.81[p for trend=0.85])。
●結論 2型糖尿病患者において,perindoprilおよびindapamideの合剤により腎イベントの発生は低減し,その効果はベースラインのSBPおよびDBPに関わらず認められた。