編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wiviott SD, Braunwald E, Angiolillo DJ, Meisel S, Dalby AJ, Verheugt FW, Goodman SG, Corbalan R, Purdy DA, Murphy SA, et al.: Greater clinical benefit of more intensive oral antiplatelet therapy with prasugrel in patients with diabetes mellitus in the trial to assess improvement in therapeutic outcomes by optimizing platelet inhibition with prasugrel-Thrombolysis in Myocardial Infarction 38. Circulation 2008; 118: 1626-1636. [PubMed]

糖尿病患者では血小板の凝集能が亢進しており,clopidogrelの投与がアスピリンより有効であること,あるいはアスピリンとclopidogrelの併用投与がさらに有用であることがすでに報告されている。
clopidogrelと同様にP2Y12受容体拮抗薬で第3世代の抗血小板薬であるprasugrelの抗血小板効果を,PCIを予定された急性冠症候群患者で比較したTRITON-TIMI 38の成績では,一次エンドポイントがprasugrel群で19%減少した。今回の報告は,糖尿病患者のサブ解析である。従来の報告どおり,糖尿病患者では非糖尿病患者に比べて一次エンドポイントが1.45倍と有意に増加していた。糖尿病および非糖尿病患者ともに,prasugrel群でclopidogrel群に比し一次エンドポイントが減少した。とくに心筋梗塞は40%減少した。大出血は非糖尿病患者ではprasugrel群で増加していたが,糖尿病患者では同等であった。その結果,一次エンドポイント+大出血イベントの発症率で評価した臨床的ベネフィットが糖尿病患者ではprasugrel群でより減少した。その正確な機序についてはさらに検討すべきであるが,prasugrelのより強力な抗血小板作用がアウトカムの減少に反映されることは臨床的に意義のあることである。【片山茂裕

●目的 急性冠症候群患者におけるprasugrelとclopidogrelの有効性を糖尿病の有無により比較検討した。TRITON-TIMI 38のサブ解析。
一次エンドポイントは心血管死+非致死性心筋梗塞(MI)+非致死性脳卒中。二次エンドポイントは臨床ベネフィット(全死亡+非致死性MI+非致死性脳卒中+冠動脈バイパス形成術(CABG)に関連しない非致死性TIMI大出血)。安全性の主な評価項目は非CABG関連のTIMI大出血。
●デザイン 無作為,intention-to-treat解析。
●試験期間 -
●対象患者 13608例:TRITON-TIMI 38試験の参加者。
採用基準:中等度~高リスクの不安定狭心症。ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に対する薬物治療後でPCI適応となる冠血管を有するか,STEMIに対する予定primary PCIに伴う心カテーテル検査前。
除外基準:出血リスク上昇。登録前5日以内におけるthienopyridine投与。
●方法 TRITON-TIMI 38試験ではclopidogrel群,prasugrel群にランダム化。
本解析では,対象患者を糖尿病の有無により分類し,アウトカムを比較(糖尿病例3146例[うちインスリン投与例776例],非糖尿病例10462例)。
●結果 一次エンドポイントは非糖尿病例に比し糖尿病例で有意に増加した(9.9 vs 14.6%,ハザード比[HR]1.45[95%CI 1.29-1.62],p<0.0001)。
糖尿病の有無別に検討すると,一次エンドポイントは両症例ともにclopidogrel群に比しprasugrel群で有意に低減した(非糖尿病例:10.6 vs 9.2%,HR 0.86[95%CI 0.76-0.98],p=0.02,糖尿病例:17.0 vs 12.2%,HR 0.70[95%CI 0.58-0.85],p<0.001;Pinteraction=0.09)。このprasugrelの有効性は,糖尿病例のインスリン投与例(22.2 vs 14.3%,HR 0.63[95%CI 0.44-0.89],p=0.009)および非投与例(15.3 vs 11.5%,HR 0.74[95%CI 0.59-0.93],p=0.009)ともに認められた。
MIは両症例ともにprasugrel群で有意に低減した(非糖尿病例:8.7 vs 7.2%,HR 0.82[95%CI 0.72-0.95],p=0.006,糖尿病例:13.2 vs 8.2%,HR 0.60[95%CI 0.48-0.76],p<0.001;Pinteraction=0.02)。TIMI大出血は非糖尿病例ではprasugrel群で有意に増加したが(1.6 vs 2.4%,HR 1.43[95%CI 1.07-1.91],p=0.02),糖尿病例では同等であった(2.6 vs 2.5%,HR 1.06[95%CI 0.66-1.69],p=0.81)。臨床ベネフィットは非糖尿病例では群間差を認めなかったが(12.3 vs 11.5%,HR 0.92[95%CI 0.82-1.03],p=0.16),糖尿病例ではprasugrel群で有意に低減した(19.2 vs 14.6%,HR 0.74[95%CI 0.62-0.89],p=0.001;Pinteraction=0.05)。
●結論 糖尿病例においてはprasugrel治療により虚血性イベントが低減し,大出血の増大は認めなかったため,全体的な臨床ベネフィットがclopidogrel治療よりも大きかった。