編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年1月現在,1144報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Shafi T, Appel LJ, Miller ER, Klag MJ, Parekh RS: Changes in serum potassium mediate thiazide-induced diabetes. Hypertension 2008; 52: 1022-1029. [PubMed]

SHEP試験のサブ解析で,サイアザイド系利尿薬が糖尿病新規発症に及ぼす影響を検討した報告。ベースラインに糖尿病を認めなかった収縮期高血圧患者からの糖尿病新規発症は,サイアザイド系利尿薬投与群で266例,プラセボ群で193例で,このうち42%が1年以内に糖尿病を発症していた。1年次までの利尿薬群とプラセボ群の糖尿病発症率は6.1 vs 3.0件/100人・年と,利尿薬群でのハザードリスクは2.07倍の高率となった。さらに,血清カリウム濃度が0.5 mEq/L減少すると,糖尿病新規発症リスクが42%増加した。これらの結果から,高血圧患者,とくにメタボリックシンドロームの高血圧患者に利尿薬を投与する際には,投与開始後1年間は糖尿病発症や血清カリウム濃度に注意を払うべきである。また,利尿薬開始後に低カリウム血症をきたした場合にはカリウム製剤を同時に投与すべきである。【片山茂裕

●目的 高血圧患者において,サイアザイド誘導の血清カリウム値の変化がサイアザイド系利尿薬の糖尿病発症に対する効果を仲介するか否かを検討した。SHEPのサブ解析。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設。
●試験期間 登録期間は1985~1988年。1991年追跡終了。追跡期間は4.4年(中央値)。
●対象患者 3790例:SHEP試験の参加者(≧60歳の孤立性収縮期高血圧[SBP>160mmHgかつDBP<90mmHg]患者4736例)のうち,ベースラインに糖尿病を認めず,追跡期間の血糖値および血清カリウム値のデータが得られた例。
●方法 SHEP試験では実薬群,プラセボ群にランダム化。実薬群では,利尿薬chlorthalidone 12.5mg/日から開始し,8週後にSBPの降圧目標(SBP 160~179mmHgの場合は20mmHgの低下,SBP>180mmHgの場合は<160mmHg)を達成できない場合は倍増。さらに16週後に降圧目標を達成できない場合は,β遮断薬atenololまたは末梢性交感神経抑制薬reserpineを併用。
本解析では糖尿病の発症を追跡(抗糖尿病薬治療,空腹時血糖値≧126mg/dL,随時血糖値≧200mg/dL,診療記録に記載された糖尿病)。解析対象例は実薬群1928例,プラセボ群1862例。
●結果 追跡期間の糖尿病発症は459例(実薬群266例,プラセボ群193例)で,そのうち191例(41.6%:それぞれ129例,62例)が1年目に発生していた(1年目の発症率:6.1 vs 3.0件/100人・年,p<0.001)。
年齢,性別,人種,BMI,SBP,DBP,血清クレアチニン,空腹時血糖を補正した実薬群の1年目の糖尿病リスクのハザード比(HR)は2.07(95%CI 1.50-2.83,p<0.001),さらに血清カリウムの変化を補正すると1.54(95%CI 1.09-2.17,p=0.01)で,仲介効果は40.7%(95%CI 34.3-49.3)であった。
血清カリウム値の0.5mEq/Lごとの低下に伴う糖尿病リスクのHRは1.45(95%CI 1.24-1.70,p<0.001)であった。
1年目以降は,実薬群の糖尿病リスク上昇は認められなかった。
●結論 サイアザイド系利尿薬治療に伴う糖尿病発症は,治療開始早期に認められ,血清カリウム値の変化により仲介されていた。