編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kawamori R, Tajima N, Iwamoto Y, Kashiwagi A, Shimamoto K, Kaku K, Voglibose Ph-3 Study Group: Voglibose for prevention of type 2 diabetes mellitus: a randomised, double-blind trial in Japanese individuals with impaired glucose tolerance. Lancet 2009; 373: 1607-1614. [PubMed]

肥満で耐糖能が境界型の者で,生活習慣の修正により3~6年の観察期間で糖尿病への進展が約40~60%減少することが,中国のDa QingやフィンランドのDPS,米国のDPPで示されている。また,αグルコシダーゼ阻害薬acarboseを用いたSTOP-NIDDMや,metforminを用いたDPPでは,これら薬剤で糖尿病への進展が約3年で約25~30%減少することが示されている。
今回の試験では,vogliboseが,糖尿病発症のリスクを少なくとも1つ以上有する耐糖能が境界型の者で,約4年間の観察で糖尿病の発症を約40%減少させ,耐糖能が正常化した者を約54%増加させた。その機序としては,食後血糖値の低下がインスリン需要を減じ,結果的に膵β細胞への負担を減じると考えられる。2型糖尿病が増加しつつある日本の現状を鑑みると,境界型から糖尿病への移行を遅らせるための戦略として,食事療法や運動療法に加えて,今回示されたような薬物治療が必要な時期にきているかもしれない。【片山茂裕

●目的 日本人の高リスク耐糖能異常(IGT)症例において,αグルコシダーゼ阻害薬vogliboseの2型糖尿病発症予防効果を検討した。
一次エンドポイントは2型糖尿病発症。二次エンドポイントは血糖正常化。
●デザイン 無作為,二重盲検,パラレル,多施設(103施設)。
●試験期間 治療期間は平均48.1週間。追跡期間は3年以上。
●対象患者 1780例:30~70歳のIGT症例。
採用基準:空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値<6.9mmol/L,OGTT 2時間値7.8~11.0mmol/L,HbA1c値<6.5%,2型糖尿病のリスク因子(高血圧[SBP≧130mmHgまたはDBP≧85mmHgまたは降圧薬治療を実施,脂質異常症[総コレステロール値≧5.7mmol/L,トリグリセリド値≧1.7mmol/L,HDL-C<1.04mmol/L],肥満[BMI≧25kg/m²],糖尿病の家族歴[一親等または二親等親族内)を1つ以上有する。
除外基準:糖尿病または耐糖能に異常をきたす疾患。
●方法 試験開始の4~8週間前に全例に対して食事および運動に対しての個別アドバイスを実施。
voglibose群(897例),プラセボ群(883例)にランダム割付け。
vogliboseは0.2mgを1日3回食前に服用。
2型糖尿病発症(2回の測定においてHbA1c値≧6.5%,かつ以下のうち1つに該当:2時間値≧11.1mmol/L,FPG値≧7.0mmol/L,随意血糖値≧11.1mmol/L),または血糖正常化(2時間値<7.8mmol/LかつFPG値<6.1mmol/L)の割合を追跡。
●結果 解析対象例はvoglibose群897例,プラセボ群881例であった。
2型糖尿病発症リスクはvoglibose群でプラセボ群に比し有意に低かった(50例 vs 106例;ハザード比[HR]0.595,95%CI 0.433-0.818,p=0.0014)。
血糖が正常化した割合もvoglibose群で有意に高かった(599例 vs 454例;HR 1.539,95%CI 1.357-1.746,p<0.0001)。
有害イベントの発生はvoglibose群で有意に多かった(810例[90%] vs 750例[85%],p=0.0009)。重篤な有害イベントは,voglibose群は胆嚢炎,大腸ポリープ,直腸腫瘍,鼠径ヘルニア,肝機能障害,くも膜下出血,プラセボ群は脳梗塞,胆嚢炎であったが,いずれも頻度は1%未満であった。
●結論 日本人の高リスクIGT症例において,生活習慣の改善に加えてvoglibose治療を行うことにより2型糖尿病発症が予防された。