編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Raz I, Wilson PW, Strojek K, Kowalska I, Bozikov V, Gitt AK, Jermendy G, Campaigne BN, Kerr L, Milicevic Z, et al.: Effects of prandial versus fasting glycemia on cardiovascular outcomes in type 2 diabetes: the HEART2D trial. Diabetes Care 2009; 32: 381-386. [PubMed]

DIGAMI (Diabets Mellitus, Insulin Glucose Infusion in Acute Myocardial Infarction) 試験では,AMI後の患者にインスリンとブドウ糖を投与して,2型糖尿病患者の死亡率が減少することが報告されている。今回のHEART2D試験は,空腹時や食前血糖値のコントロールと食後血糖値のコントロールの心血管系疾患の発症率に及ぼす影響をみた初めての試験である。残念ながら,両群での有意差は得られず,試験は予定より早期に中止された。
両群でHbA1c値には有意差がなく,PRANDIAL群では食後血糖値が15mg/dL低く,BASAL群では空腹時血糖値が20mg/dL低く保たれた。しかしながら,心血管系疾患の発症率に差がなかったのは,HbA1c値が7.0%以下に厳格にコントロールできなかったことや,イベント数が当初の予想の40%に達しなかったことなどが影響したかもしれない。また,DIAGAMI試験よりも,今回の検討にはアスピリンやスタチンやACE阻害薬がより使用されていることも原因かもしれない。最近のACCORD試験,ADVANCE試験,VADT試験などの結果とあわせて考えると,MIを起こすような動脈硬化の進行した患者での血糖コントロールの効果をみることは難しいのかもしれない。【片山茂裕

●目的 急性心筋梗塞(AMI)発症後の2型糖尿病患者において,食後血糖コントロールまたは空腹時血糖コントロールを目的としたインスリン療法の心疾患アウトカムに及ぼす影響を比較検討した。
一次エンドポイントは複合心血管イベント(心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,冠動脈血行再建術,急性冠症候群による入院)。
●デザイン 無作為,多施設(17ヵ国,105施設),パラレル,オープン。
●試験期間 登録期間は2002年10月25日~2005年7月6日。
●対象患者 1115例:30~75歳の2型糖尿病患者。
●方法 AMI発症後21日以内に食後療法群(557例),基礎療法群(558例)にランダム割付け。
・食後療法群では,食後2時間血糖値<135mg/dLを目標とし,毎食前にインスリンlisproを皮下注。
・基礎療法群では,空腹時または食前血糖値<120mg/dLを目標とし,NPHインスリン(1日2回)またはインスリンglargine(1日1回)を皮下注。
経口血糖降下薬は投与中止。
●結果 本試験は有効性を認めなかったため,2007年6月7日に早期中止された。
複合心血管イベントの発生率は食後療法群(174例[31.2%])および基礎療法群(181例[32.4%])で同等であった(ハザード比0.98,95%CI 0.8-1.21)。
試験期間のHbA1c値は両群で同等であった(7.7±0.1 vs 7.8±0.1%,p=0.4)。食後血糖値(140 vs 155mg/dL,p<0.01)および2時間値の変動(1.8 vs 23.4mg/dL,p<0.001)は食後療法群で有意に低く,空腹時血糖値は基礎療法群で有意に低く(146 vs 126mg/dL,p<0.001),空腹時または食前血糖値は両群で同等であった(139 vs 131mg/dL,p=0.233)。
●結論 AMI発症後の2型糖尿病患者において,食後血糖コントロールまたは空腹時血糖コントロールを目的としたインスリン療法の心疾患アウトカムに及ぼす影響は同等であった。