編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bilous R, Chaturvedi N, Sjølie AK, Fuller J, Klein R, Orchard T, Porta M, Parving HH: Effect of candesartan on microalbuminuria and albumin excretion rate in diabetes: three randomized trials. Ann Intern Med. 2009; 151: 11-20, W3-4. [PubMed]

candesartanを1型あるいは2型糖尿病患者に投与して網膜症の発症や進展抑制みたDIRECT試験の腎症の発症に関する解析である。candesartanは尿中のアルブミン排泄率をプラセボ群に比べて5.53%低下させたが,微量アルブミン尿の発症率を抑制しなかった。これまでに報告されている1型糖尿病患者におけるEUCLID試験(正常血圧)や,2型糖尿病患者におけるHOPE試験(正常血圧・高血圧)またはBENEDICT試験(高血圧)では,ACE阻害薬が正常アルブミン尿から微量アルブミン尿への進展を抑制することが報告されている。今までにない人数で行われた今回の試験でポジティブな結果が得られなかったのは,1型糖尿病患者は正常血圧,2型糖尿病患者は正常血圧および降圧薬で治療され血圧がよくコントロールされた正常アルブミン尿の患者であったためなのかもしれない。実際,試験開始時のアルブミン尿は5μg/分と低値であり,プラセボ投与群の4.7年後の微量アルブミン尿発症率も1型では2%以下,2型でも14.8%であった。ARBが正常アルブミン尿から微量アルブミン尿への進展を抑制し,すべての2型糖尿病患者に正常アルブミン尿で正常血圧時からARBを投与すべきとの仮説を証明するためには,今後はさらに長期の試験が必要であろう。とりあえずは,高血圧や脂質異常症や肥満などのリスクを1つ以上もつ正常アルブミン尿で正常血圧の2型糖尿病患者にARBのolmesartanを投与しているROADMAPの成績が待たれる。この結果がポジティブにでれば,正常アルブミン尿で正常血圧であっても,このようなリスクを持つ2型糖尿病患者にはARBを投与すべきとの治療戦略が構築できるかもしれない。【片山茂裕

●目的 1型および2型糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬candesartanの微量アルブミン尿および尿中アルブミン排泄率(UAER)に対する効果を検討した。DIRECT-Prevent 1,DIRECT-Protect 1,DIRECT-Protect 2の統合解析。
一次エンドポイントは微量アルブミン尿の新規発症(UAER≧20μg/分)。二次エンドポイントはUAERの変化率。
●デザイン pooled analysis。
各DIRECT試験は無作為,プラセボ対照,多施設(30ヵ国,309施設)。
●試験期間 追跡期間は4.7年(中央値)。
●対象患者 DIRECT-Prevent 1およびDIRECT-Protect 1に参加した1型糖尿病患者3326例,DIRECT-Protect 2に参加した2型糖尿病患者1905例。
●方法 各DIRECT試験では,candesartan群(16mg/日から開始し,1ヵ月後に32mg/日に倍増),プラセボ群にランダム化。
本統合解析の対象例はcandesartan群2613例,プラセボ群2618例。
●結果 個々のDIRECT試験において,微量アルブミン尿発症率はcandesartan群とプラセボ群で同等であり(DIRECT-Prevent 1:ハザード比[HR]1.08,DIRECT-Protect 1:HR 1.03,DIRECT-Protect 2:HR 1.01[高血圧例]または0.73[正常血圧例]),3試験の統合解析においても有意差は認めなかった(HR 0.95,95%CI 0.78-1.16,p=0.60)。
統合解析におけるUAERの変化は,candesartan群でプラセボ群に比し,年間の変化率が5.53%低かった(95%CI 0.73-10.14,p=0.024)。
●結論 1型および2型糖尿病患者において,candesartan治療による微量アルブミン尿予防効果は認められなかった。