編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bonds DE, Miller ME, Bergenstal RM, Buse JB, Byington RP, Cutler JA, Dudl RJ, Ismail-Beigi F, Kimel AR, Hoogwerf B, et al.: The association between symptomatic, severe hypoglycaemia and mortality in type 2 diabetes: retrospective epidemiological analysis of the ACCORD study. BMJ. 2010; 340: b4909. [PubMed]

ACCORD(The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)の低血糖と死亡の関連を検討したサブ解析である。標準療法群でも強化療法群でも,低血糖非発症群に比べてHA群の方が年間死亡率が高かった(ハザード比はそれぞれ2.30倍と1.41倍)。死亡の詳しい理由は不明であるが,心筋虚血や致死的不整脈が一つの理由かもしれない。
一方,低血糖を起こしたHA群やHMA群に限ってみると,強化療法群で死亡リスクが低下していた(ハザード比はそれぞれ0.74倍と0.55倍)。この理由も詳しくはわからないが,プロトコール上は,標準療法群でも強化療法群でも医療スタッフの同様な対応が求められているが,強化療法群では頻回の受診が義務付けられており,医療スタッフとの接触の機会も多い。そのため,患者が低血糖に関する知識を得て,あるいは実際に低血糖発作を頻回に経験し,重症の低血糖が起きた際に,適切に対応できるようになったのかもしれない。また,軽度の低血糖にさらされることで,心筋がプレコンディッショニング効果を得たとも考えられる。
依然として低血糖が死亡率を高める原因の詳細は不明であるが,低血糖になりやすいということが,他の疾患の合併のマーカーなどになるのか,今後の検討が必要である。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,低血糖と死亡率との関連を検討した。ACCORDの疫学的レトロスペクティブ解析。
●デザイン 無作為化比較試験の疫学的レトロスペクティブ解析。
●試験期間 登録期間は2001年1月~6月,2003年2月~2005年10月。
●対象患者 10194例:ACCORDの参加者(高リスクの2型糖尿病患者10251例)のうち,低血糖の評価を受けた例。
採用基準:HbA1c値7.5~11%,40~79歳(心血管疾患[CVD]を有する例)または55~79歳(動脈硬化,アルブミン尿,左室肥大を有する,またはCVDリスク因子[脂質異常症,高血圧,喫煙,肥満]を2つ以上有する例)。
除外基準:頻回または最近の重症低血糖イベント(12ヵ月以内の低血糖性昏睡または発作,3ヵ月以内の第三者の介助を要する低血糖[<60mg/dL]),自己血糖測定またはインスリン注射を拒否,BMI>45,血清クレアチニン値>1.5mg/dL,他の重篤な疾患。
●方法 ACCORD試験では,強化療法群(目標HbA1c値<6.0%)または標準療法群(目標HbA1c値7.0~7.9%)にランダム化。
本解析では,低血糖(医療介助を要する症候性重度低血糖[HMA],すべての介助を要する症候性重度低血糖[HA],自己測定血糖値<70mg/dLの低血糖)と死亡率(全死亡,原因別死亡率)との関連を検討し,また,その関連における血糖コントロールおよび割り付け治療の影響を検討した。
●結果 HA例は強化療法群15.9%,標準療法群5.0%,HMA例はそれぞれ10.3%,3.4%であった。
強化療法群における年間死亡率は,HA例では2.8%(53件/1924人・年),低血糖非発症例では1.2%(201件/16315人・年)であった(調整ハザード比[HR]1.41,95%CI 1.03-1.93)。標準療法群においても同様で,それぞれ3.7%(21件/564人・年),1.0%(176件/17297人・年)であった(調整HR 2.30,95%CI 1.46-3.65)。
死亡リスクに対する割り付け治療の影響の検討では,HA例(調整HR 0.74,95%CI 0.46-1.23)およびHMA例(調整HR 0.55,95%CI 0.31-0.99)ともに,強化療法群で死亡リスクが低下した。
強化療法群においてACCORD試験の中止までに発生した451件の死亡のうち,明らかに低血糖によるものは1件であった。
●結論 いずれの治療群においても,症候性重度低血糖は死亡リスク増大と関連していた。低血糖発症例においては,標準療法群に比べ強化療法群の方が死亡リスクが低下した。