編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Charlton-Menys V, Betteridge DJ, Colhoun H, Fuller J, France M, Hitman GA, Livingstone SJ, Neil HA, Newman CB, Szarek M, et al.: Apolipoproteins, cardiovascular risk and statin response in type 2 diabetes: the Collaborative Atorvastatin Diabetes Study (CARDS). Diabetologia. 2009; 52: 218-25. [PubMed]

CARDSでは,2型糖尿病患者において,atorvastatin群で,プラセボ群に比べて,一次エンドポイント(心筋梗塞+入院を要する狭心症+冠動脈疾患死)が37%低下することが報告されている。本報告は,種々の脂質分画の指標のうち,どれがCHDの最もよい予測因子となるかを検討したCARDSのサブ解析である。 
ApoB/ApoA-I比がLDL-CやHDL-Cやnon-HDL-CよりCHDのよい指標になるとの報告がすでにいくつかあるが,2型糖尿病患者における検討はCARDSがはじめてのものである。ApoB/ApoA-I比はCHDの最もよい予測因子であり,スタチンによるCHDの低下を最も予測する因子であった。その予測能はLDL-C/HDL-Cより優位というわけではなかったが,non-HDL-C/HDL-Cよりも高かった。
CARDSでは,atorvastatin群で脳卒中が47%減少している。ただ,他の検討でもいわれてはいるが,ApoB/ApoA-I比は脳卒中の予測因子にはならなかった。CARDSでは脳卒中の発症頻度はそう高くはなかったことも一因かもしれない。リポ蛋白濃度と脳卒中の関連は疫学的には明らかであるが,今までの介入試験でもLDL-Cの低下と脳卒中の低下には,CHDほどの強い関連はない。CARDSでみられた脳卒中の低下が,スタチンのpleiotropic effect(多面発現効果)かどうか,今後検討する必要があるだろう。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,アポリポ蛋白(Apo)B/ApoA-I比が冠動脈心疾患(CHD)の予測因子となるかを検討した。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(アイルランド,英国)。
●試験期間 追跡期間は3.9年(中央値)。
●対象患者 2627例:CARDSの参加者(40~75歳でCHD既往のない2型糖尿病患者2838例)のうち,ベースラインにApoのデータが得られた例。
登録基準:血清LDL-C値≦4.14mmol/L,空腹時血清トリアシルグリセロール値≦6.77mmol/L,心血管リスク因子を1つ以上有する(高血圧,網膜症,微量アルブミン尿,蛋白尿,現在の喫煙習慣)。
●方法 CARDSでは,HMG-CoA還元酵素阻害薬atorvastatin 10mg/日群,プラセボ群にランダム化。
本解析では,Cox比例ハザード回帰モデルにより,ApoB,ApoA-I,LDL-C,HDL-CのCHD予測能を検討。
●結果 追跡期間に,CHDは108件,脳卒中は59件発生した。
ベースラインのApoB/ApoA-I比は,もっとも精度の高いCHDの予測因子であった。
ApoB/ApoA-I比およびLDL-C/HDL-C比のROC下面積は,non-HDL-C/HDL-C比のROC下面積よりも有意に大きかった(それぞれp=0.0005,p=0.0125)。
atorvastatin群では,プラセボ群に比し,ApoB/ApoA-I比が27.2%低下し,これによりCHDリスクが32%(95%CI 5.4-51.2%)低下すると予測され,実際,36%の低下が得られた。
脳卒中については,いずれも予測能をもたなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,ApoB/ApoA-I比のCHD予測能は,non-HDL-C/HDL-C比よりも高かったが,LDL-C/HDL-C比に対する優位性は確認されなかった。atorvastatin治療により得られた脳卒中リスクの低下は,リポ蛋白が関与しないことが示唆された。