編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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The ACCORD Study Group: Effects of Combination Lipid Therapy in Type 2 Diabetes Mellitus. N Engl J Med. 2010; [PubMed]

すでに発表されたACCORD試験での血糖の厳格な管理は,標準治療に比べてむしろ心血管疾患を増加させ,重篤な低血糖と関連したことが大きな議論をよんだことは記憶に新しい。今回,同試験の脂質アームでの結果が発表された。
ACCORD Lipidではstatinでの治療にfenofibrateもしくはプラセボを追加している。脂質プロファイルは,LDL-Cは両群とも同等に低下,HDL-Cは両群とも上昇したがfenofibrate群でより上昇し,TGは両群とも低下したが,fenofibrate群でより低下した。一次エンドポイント(ただし初回発生)の年間発生率は,プラセボ群2.4%に対してfenofibrate群2.2%で,ハザード比が0.92と両群間に有意差はなかった(p=0.32)。
患者背景別のサブ解析では,男性ではfenofibrate追加による有用性が,女性では悪影響が示唆された。TG 204mg/dL以上,HDL-C 34mg/dL以下の患者群ではfenofibrate追加による有意なCVDリスク低下が示された。
TGやHDL-Cが正常範囲,またはそれに近い2型糖尿病患者ではstatinにfenofibrateの併用を支持する結果は認められなかったといえる。ただ,男性や,TGが高くHDL-Cが低い患者群では両薬剤の併用が有用かもしれない。また,両薬剤の併用でクレアチニンキナーゼが正常値の10倍以上に上昇したのは患者の0.4%であり,プラセボ群の 0.3%と差がなかった。実際,横紋筋融解症のリスクは高まらなかった。
また,他の試験でも示されているように,両薬剤の併用で血清クレアチニン濃度がわずかに上昇し,eGFRが減少することが示されているが,末期腎不全や透析の頻度には差がなかった(75例 vs 77例)。そして,両薬剤の併用群では,むしろ微量アルブミン尿や蛋白尿の発症は減少したことも特筆すべきである。【片山茂裕

●目的 心血管疾患(CVD)リスクの高い2型糖尿病患者において,simvastatin+fenofibrate(フィブラート)併用とsimvastatin単独のCVDリスク抑制効果を比較検討した。
一次アウトカムは非致死性心筋梗塞(MI)+非致死性脳卒中+心血管(CV)死。二次アウトカムは一次アウトカム+血行再建術またはうっ血性心不全による入院,致死性冠イベント+非致死性MI+不安定狭心症,非致死性MI,致死性または非致死性脳卒中,非致死性脳卒中,全死亡,CV死,心不全による入院または死亡。
●デザイン 無作為,多施設(米国およびカナダの77施設),2×2 factorial,intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は平均4.7年。登録期間は2001年1月11日~2005年10月29日。
●対象患者 5518例:CVDリスクの高い2型糖尿病患者。平均62.3歳。女性30.7%。
採用基準:HbA1c値≧7.5%,40~79歳(CVDを有する例)または55~79歳(無症候性CVDまたはCVリスク因子を2つ以上有する例)。LDL-C値60~180mg/dL,HDL-C値<55mg/dL(女性および黒人)または<50mg/dL(その他),トリグリセリド(TG)値<750mg/dL(脂質低下療法未実施)または<400mg/dL(脂質低下療法実施)。
●方法 全例にsimvastatinを投与し,fenofibrate群(2765例)またはプラセボ群(2753例)にランダム化。
fenofibrateは160mg/日から開始し,推定糸球体濾過量(eGFR)にしたがって投与量を調整。
●結果 一次アウトカムの年間発生率は,fenofibrate群2.24%,プラセボ群2.41%であった(ハザード比[HR]0.92,95%CI 0.79-1.08,p=0.32)。二次アウトカムの年間発生率は両群で有意な差はなかった。
全死亡は両群で同等であった(1.47 vs 1.61%,HR 0.91,95%CI 0.75-1.10,p=0.33)。
サブグループ解析では,fenofibrate群の有効性は,男性(p=0.01 for interaction)およびベースラインのTG高値かつHDL-C低値の例で高かった(p=0.057 for interaction)。
●結論 CVDリスクの高い2型糖尿病患者において,simvastatin+fenofibrate併用によるCVイベント抑制効果は,simvastatin単独と同等であった。