編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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House AA, Eliasziw M, Cattran DC, Churchill DN, Oliver MJ, Fine A, Dresser GK, Spence JD: Effect of B-vitamin therapy on progression of diabetic nephropathy: a randomized controlled trial. JAMA. 2010; 303: 1603-9. [PubMed]

血中のホモシステイン濃度が高いと,糖尿病網膜症や腎症などの細小血管障害,あるいは心筋梗塞や脳卒中などの大血管障害が起こりやすい。ビタミンBが血中ホモシステイン濃度を低下させ,血管内皮細胞機能を改善することが報告されている。
DIVINeは,高用量のビタミンB6,B12,葉酸により,糖尿病腎症の進展を抑制するという仮設を検証した試験である。ビタミンB投与群では,予想通り血中総ホモシステイン濃度はプラセボ群に比較して低下したが,残念ながら,GFRがより低下し,心筋梗塞・脳卒中・血管再建術・総死亡は増加した。
何ゆえこのような結果がもたらされたか詳細は不明だが,高用量のビタミンB6,B12,葉酸の投与は,かえってtoxicに働いた可能性が挙げられる。葉酸はチミジン合成を介して細胞増殖に働く可能性があり,ビタミンB12は血管の細胞のメチレーションやl-アルギニンのメチレーション(NO合成酵素の阻害薬になる)を惹起する可能性も考えられる。
今後は,ホモシシテイン濃度を低下させる新たな方法,例えば蛋白にジスルフィド結合で結合しているホモシステインをチオールで遊離させ,腎から尿中への排泄を促すなど,新しい戦略が求められるだろう。【片山茂裕

●目的 腎症を有する1型および2型糖尿病患者において,ビタミンB治療が腎症の進展を遅らせ,血管合併症を予防するかを検討した。
一次アウトカムは糸球体濾過量(GFR)の変化。二次アウトカムは透析,複合イベント(心筋梗塞+脳卒中+血行再建術+全死亡+末梢血管傷害による切断術),認知低下,切断術。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(カナダ,5施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 試験期間は2001年5月~2007年7月。追跡期間は3年(平均31.9±14.4ヵ月,中央値32.2ヵ月)。
●対象患者 238例:腎症を有する1型および2型糖尿病患者。男性74.8%。2型糖尿病患者81.9%。
登録基準:≧18歳,尿中アルブミン排泄率≧300mg/日(または≧500mg/日の蛋白尿)。
除外基準:余命3年未満,進行腎不全,緊急透析待機,妊婦または適切な避妊が困難な女性。
●方法 ビタミンB群(119例),プラセボ群(119例)にランダムに割付け。
・ビタミンB群:葉酸(2.5mg/日),ビタミンB6(25mg/日),ビタミンB12(1mg/日)を含有する錠剤を1日1錠投与。
●結果 36ヵ月後のGFRは,ビタミンB群では16.5±1.7ml/分/1.73m2低下,プラセボ群では10.7±1.7ml/分/1.73m2低下し,群間差は-5.8であった(95%CI -10.6~-1.1,p=0.02)。
透析の必要な患者の割合は,両群で同等であった(ハザード比[HR]1.1,95%CI 0.4~2.6,P=0.88)。複合イベントの発生は,ビタミンB群で有意に多かった(HR 2.0,95%CI 1.0~4.0,p=0.04)。
血漿総ホモシステイン値は,ビタミンB群では2.2±0.4μmol/L低下,プラセボ群では2.6±0.4μmol/L増加した(群間差-4.8,95%CI -6.1~-3.7,p<0.001)。
●結論 腎症を有する1型および2型糖尿病患者において,高用量ビタミンB治療によりGFRは大幅に減少し,血管合併症は増加した。