編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年7月現在,1168報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Kooy A, de Jager J, Lehert P, Bets D, Wulffelé MG, Donker AJ, Stehouwer CD: Long-term effects of metformin on metabolism and microvascular and macrovascular disease in patients with type 2 diabetes mellitus. Arch Intern Med. 2009; 169: 616-25. [PubMed]

UKPDSにおいて,metforminが治療早期から投与されていた群では,そうでない群と比較してHbA1cに差がなかったにもかかわらず,血管障害の発症が少ないことが認められ,レガシー効果[下部NOTE参照]があると捉えられている。さらに,metformin が2型糖尿病患者の膵β細胞のオートファジー機能異常によるアポトーシスを改善する作用を有することも示されている。
この試験は,metforminによりインスリン分泌を維持することが重要であることを示した成績といえる。【河盛隆造

●目的 インスリン治療を受けている2型糖尿病患者において,metformin(ビグアナイド)の代謝および心血管疾患に対する長期効果を検討した。
一次エンドポイントは大血管障害(心筋梗塞,心不全,心電図の変化,急性冠症候群,糖尿病性足潰瘍,脳卒中,一過性虚血発作,末梢動脈疾患,末梢動脈閉塞,PTCA,CABG,非外傷性下肢切断,突然死)+細小血管障害(網膜症の進展,腎症の進展,神経障害の進展)+死亡。二次エンドポイントは大血管障害,細小血管障害,死亡,HbA1c,インスリン必要量,脂質値,血圧,体重,BMI。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設(オランダ),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は4.3年。
●対象患者 390例:インスリン治療を受けている2型糖尿病患者。30~80歳。
●方法 metformin(850mg×1~3回/日)群(196例),プラセボ群(194例)に無作為に割付け。
インスリン治療は継続(目標血糖値:空腹時72.1~126.1mg/dL,食後72.1~180.2mg/dL)。
●結果 血糖コントロールは両群で同等であったが,metformin群では体重増加が有意に少なく(群間差-3.07kg,p<0.001),HbA1c低下度が有意に大きく(群間差-0.40%,p<0.001),インスリン必要量が有意に少なかった(群間差-19.63IU/日または-0.18IU/kg,p<0.001)。血圧,脂質値,低血糖発生の頻度は両群で同等であった。
一次エンドポイントの発生率は両群で同等であった。
二次エンドポイントのうち,大血管障害の発生率はmetformin群で有意に低かったが(HR 0.61,95%CI 0.40-0.94,p=0.02),これはおもに体重増加の差異によるものと考えられた。大血管障害のNNTは16.1であった(95%CI 9.2-66.6)。
●結論 インスリン治療を受けている2型糖尿病患者において,metformin追加により体重,血糖コントロール,インスリン必要量は改善したが,一次エンドポイント(大血管障害+細小血管障害+死亡)は改善しなかった。しかし,4.3年の追跡後,大血管障害のリスクが抑制されたため,metforminの長期効果の有用性が示唆された。