編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sato KK, Hayashi T, Nakamura Y, Harita N, Yoneda T, Endo G, Kambe H: Liver enzymes compared with alcohol consumption in predicting the risk of type 2 diabetes: the Kansai Healthcare Study. Diabetes Care. 2008; 31: 1230-6. [PubMed]

これまで,中等度のアルコール摂取が糖尿病の新規発症を減少させることや,逆に高値ALTが糖尿病の新規発症の増加につながることが報告されてきた。最近では,GGTがアルコールによる肝障害の最良のマーカーであることが広く受け入れられ,また高値GGTが糖尿病の新規発症を増加させることも明らかにされてきた。
本検討では,これら三者の関連が詳細に検討され,おおむね上記の関係が追加確認された。興味深いのは,中等度の飲酒者でGGTが最も低値の群での糖尿病の新規発症リスクが最低であり,非飲酒者でもGGTが最も高値の群では糖尿病の新規発症が最高であったことである。また,GGT値にかかわらず,非飲酒者では中等度や大量の飲酒者に比べ,糖尿病の新規発症率が高かった。ALT値との関連もほぼ同様であった。
このような関連がみられた詳しい機序は,本検討からは明らかでない。ただ,中等度のアルコール摂取はインスリン抵抗性を改善し,GGTが高値の者ではインスリン抵抗性が認められる。また,ALTはnonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)と関連し,NAFLDでもインスリン抵抗をきたすことが知られている。今回の結果はインスリン抵抗性により一部説明できるのかもしれないが,さらに詳細な検討が待たれる。【片山茂裕

●目的 日本人男性において,アルコール消費量および肝酵素と2型糖尿病の関連を検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 登録期間は2000年4月~2001年3月。追跡期間は4年。
●対象患者 8576例:40~55歳の2型糖尿病を認めない日本人男性。平均47.8±4.2歳。
●方法 アルコール消費量および肝酵素と2型糖尿病発症の関連を検討。
2型糖尿病の定義は,空腹時血漿ブドウ糖値≧126mg/dL,経口血糖降下薬またはインスリンの使用とした。
●結果 追跡期間に2型糖尿病を発症したのは878例であった。
中等度のアルコール消費量(エタノール:16.4~42.6g/日)は2型糖尿病リスクを低下させ,γ-グルタミン酸トランスフェラーゼ(GGT)高値およびアラニン酸アミノトランスフェラーゼ(ALT)高値はリスクを増大させた。
統合解析では,GGT第1三分位の中等度アルコール消費例で2型糖尿病リスクが最も低く,それに対し,GGT第3三分位の非飲酒例で最もリスクが高かった(調整OR 3.18,95%CI 1.75-5.76)。またGGT値にかかわらず,アルコール消費量が中等度または多量(エタノール:≧42.7g/日)の場合,非飲酒例より2型糖尿病リスクが低かった。ALTについても同様であった。
●結論 日本人男性において,GGT,ALT,アルコール消費量は,独立した2型糖尿病リスクであった。GGT高値またはALT高値の非飲酒例では,2型糖尿病リスクが高かった。