編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kojima S, Sakamoto T, Ogawa H, Kitagawa A, Matsui K, Shimomura H, Kimura K, Ogata Y, Sakaino N; Multicenter Study for Aggressive Lipid-lowering Strategy by HMG-CoA Reductase Inhibitors Investigators: Standard-dose statin therapy provides incremental clinical benefits in normocholesterolemic diabetic patients. Circ J. 2010; 74: 779-85. [PubMed]

糖尿病患者での心血管イベント発症率は,非糖尿患者の2~4倍に達する。また実際,欧米でも,最近ではわが国でも,心筋梗塞で入院した患者の20~30%は糖尿病を合併している。
MUSASHI は,日本人の正常コレステロール値(180~240mg/dL)のCHD患者1016例を対象として行われた試験である。本報告は,対象患者を糖尿病患者と非糖尿病患者に分けて,主要心血管・脳血管イベントをみたサブ解析である。両群で,スタチン群と非スタチン群でのLDL-C値の低下度には差がなかった。今回のスタチンは標準用量であり,LDL-C値は100mg/dL程度への低下である。しかしながら,スタチンによるイベント減少度は糖尿病患者において非糖尿病患者に比べ大きかった(67% vs 23%)。糖尿病患者では,スタチンの多面的な作用がより大きいのかもしれない。いずれにしても,わが国の糖尿病患者には正常コレステロール値であっても,標準用量のスタチンによる治療が推奨されるといえる。【片山茂裕

●目的 日本人の正常コレステロール値の冠動脈心疾患(CHD)患者において,標準用量のスタチン治療の心血管イベント低減効果を糖尿病の有無により検討した。
エンドポイントは主要心血管・脳血管イベント(心血管死+非致死性急性心筋梗塞+不安定狭心症+心不全+非致死性脳卒中)。
●デザイン 前向き,ランダム化,PROBE法,多施設(日本,55施設)。
●試験期間 登録期間は2002年2月~2004年9月。追跡期間は平均547±262日。
●対象患者 1016例:日本人の正常コレステロール値(180~240mg/dL)のCHD患者。2型糖尿病患者301例,非糖尿病患者715例。
除外基準:<18歳,過去3ヵ月以内の脂質低下薬の使用,既知の家族性脂質異常症,重度腎不全,既知の肝疾患,重度心不全の徴候および症状(KillipクラスIII~IV),冠動脈バイパス形成術(CABG)の予定,6ヵ月以内の経皮的冠インターベンションまたは3ヵ月以内のCABG,悪性疾患,スタチンアレルギー。
●方法 スタチン群503例(糖尿病患者155例,非糖尿病患者348例),非スタチン群513例(糖尿病患者146例,非糖尿病患者367例)に無作為に割付け。
スタチン群では,必要に応じて用量変更またはスタチン薬の変更可。他の脂質低下薬の使用は禁止。
全例に,日本動脈硬化学会のガイドラインに基づく食事療法を指導。
●結果 血清LDL-C値は,スタチン群で非スタチン群より低下し,その低下度は,糖尿病患者と非糖尿病患者で同等であった。
スタチン群では,糖尿病患者,非糖尿病患者ともに非スタチン群よりエンドポイントが良好であったが,糖尿病患者のほうがNNT(糖尿病患者8,非糖尿病患者30)および相対リスク低下(糖尿病患者67%,非糖尿病患者24%)が良好であった。
●結論 日本人の正常コレステロール値のCHD患者において,標準用量のスタチン治療の心血管イベント低減効果は糖尿病患者で非糖尿病患者より大きかった。