編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sarwar N, Gao P, Seshasai SR, Gobin R, Kaptoge S, Di Angelantonio E, Ingelsson E, Lawlor DA, Selvin E, Stampfer M, et al.; Emerging Risk Factors Collaboration: Diabetes mellitus, fasting blood glucose concentration, and risk of vascular disease: a collaborative meta-analysis of 102 prospective studies. Lancet. 2010; 375: 2215-22. [PubMed]

従来,糖尿病患者では心血管疾患が2~4倍高率に起こることが知られている。今回のEmerging Risk Factors Collaborationは,糖尿病と空腹時血糖異常と冠動脈疾患と脳卒中との関連を検討した102のプロスペクティブ試験のメタアナリシスである。
抄録にあるように,糖尿病患者では,冠動脈疾患と虚血性脳卒中のハザード比は約2倍となった。この傾向は,男性に比べて女性・60-69歳に比べて40-59歳・非喫煙者・BMI低値・収縮期血圧低値群で高かった。
また,空腹時血糖値と血管リスクは非線形的関係にあり,70-100mg/dLの群と比較すると,101~109mg/dL,110~125mg/dLの群で,ハザード比はそれぞれ1.11倍・1.17倍に上昇した。糖尿病と診断されていない者では1.78倍,糖尿病と既に診断されている者では空腹時血糖値が126mg/dL未満で1.61倍,126mg/dL以上で2.36倍であった。冠動脈疾患については,総コレステロール濃度やnon-HDL-コレステロール濃度や収縮期血圧との直線的なより強い相関がみられたことも特筆される。 糖尿病患者数が人口の10%とすると,糖尿病の血管死に対する寄与率は11%であることとなる。もし,糖尿病患者数が人口の20%に達すると,糖尿病の血管死に対する寄与率は22%に増加することとなる。このことは,糖尿病患者ではもちろんであるが,それ以前の空腹時血糖異常の段階からの血糖のみならず脂質や血圧の管理の必要性を強く示唆している。【片山茂裕

●目的 糖尿病および空腹時血糖(FBG)値と,冠動脈心疾患(CHD)および脳卒中リスクとの関連を検討した。
●デザイン メタアナリシス。
●試験期間 -
●対象患者 計698782例:心筋梗塞,狭心症,脳卒中を認めない例。平均52±13歳。女性43%。
●方法 102件のプロスペクティブ研究を対象とし,年齢,性別,喫煙,収縮期血圧(SBP),BMIを補正して,糖尿病およびFBG値とCHDおよび脳卒中のハザード比(HR)を算出。
●結果 糖尿病による調整HRは,CHDは2.00(95%CI 1.83-2.19),虚血性脳卒中は2.27(95%CI 1.95-2.65),出血性脳卒中は1.56(95%CI 1.19-2.05),未分類脳卒中は1.84(95%CI 1.59-2.13),その他の血管死は1.73(95%CI 1.51-1.98)であった。さらに脂質・炎症・腎マーカーを補正後も,同様であった。
CHDのHRは,女性で男性より高く(2.59 vs 1.89,p<0.0001),40~59歳で≧70歳より高かった(2.51 vs 1.78,p<0.0001)。
糖尿病は,血管死の11%(95%CI 10-12)に寄与した。
FBG値は血管リスクと非線形に相関したが,70~100mg/dLでは有意な相関を認めなかった。
FBG値70~100mg/dLに対するCHDのHRは,<70mg/dLは1.07(95%CI 0.97-1.18),100~109mg/dLは1.11(95%CI 1.04-1.18),110~125mg/dLは1.17(95%CI 1.08-1.26)であった。
糖尿病を認めない症例においては,FBG値または空腹時血糖異常についての情報は,血管疾患予測を改善しなかった。
●結論 糖尿病は,従来の他のリスク因子とは独立して,血管疾患リスクを約2倍に増大させた。糖尿病を認めない症例においては,FBG値と血管疾患リスクの相関はわずかであり,非線形であった。